「羽あるもの」吉田篤弘 -Hanearumono Atsuhiro Yoshida-
いつの日か私も羽を質素な生活の中見えないものを捕らえてしまう目で見えた相手と対話をすることができる、わたくしの、「羽あるもの」を探し求める物語。この国の物語ではありそうで時代は少し古いであろうことが文体からわかるのだけれど最初は読みづらい気のする文体を読み進めるうちにとても心地よい世界観に引き込まれていゆく。わたくしと、隣人の和尚様、和尚様を訪ねてくる野狐。この登場人物たちに誘われて、たどりついたかも知れない「羽あるもの」の正体とは。確かにそうなのかもしれない。いつの日か私も「羽」を手に入れたいと思う。とても良い余韻が漂うラスト。・・・淡い装丁に包まれた本そのものが、見返しも扉も全体のつくりの丁寧さもとにかく全てが美しい一冊。・・・「羽あるもの」吉田篤弘平凡社