「あいしてる」では足りない

 

15歳の頃ってどんなだったろう。

中3か高1かな。

私ははやく大人になりたいと、ずっと思っていた。

 

やりたくないのにやらないといけない事ばかりをさせられているような、

少しでもはみ出だすと列にすぐ戻されるような、

そんな感じが窮屈で、

でも、ザクッと飛び出すほどの勇気というか情熱はなく

なんかこういうんじゃないんだよなーと

ただ過ぎる時間を静かに消化していた。

大人になればもう少し〝自由〟であろうと思っていた。

そうなんだ、選択肢は無限

(というほどではないが増えるのは確か)。

 

・・・

 

主人公は、突然両親を事故で亡くした、朝(15歳)。

葬儀の場で誰が引き取るべきかと

子どもに聞かせるべきでないことばが飛び交う中、

その空気に耐えられず勢いで名乗り出た

叔母・槙生(35歳)小説家。

心底嫌いだった姉のひとり娘を引き取ることにしたのだ。

槙生は不器用でコミュ障で掃除が苦手だけど

いつもことばを選んで選んで伝えてくれる。

子育てというつもりはなくとも、

朝を天涯孤独の運命からは退けてくれた人。

 

朝から溢れ出ることばは素直でまっすぐで時に痛い。

槙生のことばは慎重で正確で時に難しい。

 

朝は言う、その時にわからなかったことばが

「もっとずっとあとで意味がわかるのかなって」。

そう、そうなんだよ。

だからその瞬間にはわからないであろうことでも

こどばにして伝えておくことはとても大切。

だってちがう人間同士なんだから。

 

朝はきっといい大人になれる。

槙生がいてよかった。

 

・・・

 

映画になるんだよね。

見ようかな、見ないかなー、迷うな。

この素晴らしい漫画の世界を、映像でみるべきか。

いや、別物と考えればよし、だな。

 

・・・

 

「違国日記」ヤマシタトコモ 全11巻

祥伝社