プライム落語(R3.09.11)。 | 【 モヤトリアムな毎日 】

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モヤモヤで、モラトリアムな日常。

BSフジpresents プライム落語 in 横浜
令和3年9月11日(土)昼公演
関内ホール 大ホール

入船亭扇ぽう「転失気」
桃月庵白酒「松曳き」
林家彦いち「遥かなるたぬきうどん」
柳家喬太郎「品川心中」

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 実に豪華な顔ぶれでした。

 前座の扇ぽうさんに次いで高座に上がった白酒さん、まずは突然の政権投げ出しという奇行に走った菅総理を念頭に、「菅さんには最後まで頑張ってほしいものですけれども……一応、地元なんで……触れちゃいけませんでした?」で場内を湧かせます。
 自民総裁選の話題から、世間が大変な時は多少強権的なリーダーの方が理にかなっていて、逆に平時はリーダーが抜けてるぐらいの方が諸々上手く回っていくものだと。江戸時代になぞらえながら。ただしそんな太平の世の中も長く続けばリーダーの周りにいる側近たちまで抜けてしまってダメになっていくもので…というマクラから、演目は「松曳き」。殿様も家老もそそっかしいというか馬鹿というか、な噺。流れるような語り口で、のめり込むようにして聴きました。

 続いて彦いちさん。「いくら噺家がいい加減だと言ってもこういう落語会には開場前に来てマイクのテストとかするものなんです、仕事ですから」と。しかし、なんと仲入り後に出番を控える「喬太郎さん、まだ来てません!」で場内大笑い。マクラを引き延ばして時間稼ぎ。コロナ禍の寄席界隈の楽屋話をたくさん聴けて面白かったです!
 緊急事態宣言に伴う休業要請に絡み、寄席が社会生活に不可欠だと伝える文脈で西村大臣を視察に招いた際、せいぜい15分から20分程度の滞在時間、誰が舞台に上がっているかが肝心なところなのに、客の前に出ていたのがまさかのアサダ二世さんだったというエピソードも、寄席ファン達にウケてました。
 当初の倍くらいマクラでつないだところで、舞台袖から"喬太郎さん到着"の報せを受けて、本題に。自身もエベレストに登った経験があるという話から、ヒマラヤまで出前を届けるうどん屋の主人と、山頂で待つ常連客の噺、「遥かなるたぬきうどん」。ジェスチャーも織り交ぜ、想像が膨らむ展開でした。

 仲入りを挟んで、柳家喬太郎さん登場。会場入りが遅れた原因は、午前中に映画『浜の朝日の嘘つきどもと』の舞台挨拶があったからとのことでした。
 その映画の撮影中、主演の高畑充希さんから役柄上「ジジイ、ジジイ」とずっと呼ばれ続けて、でもいつの間にかそれがたまらなくなってきちゃったとかいう話やら、この落語会が配信無しだと確認した途端に元気になるやら、遅れてきたから崎陽軒の弁当を食べる時間がなかった件やら、ノンストップで楽しませてくれる展開!
 遠方各地の落語会を回った話では、鹿児島から高知へ行くのに直行便がなくて、どこで乗り換えたかと思えば「羽田だよ?!」と(笑

 「俺だけ持ち時間が長いんだよ!」と言いながらも本題「品川心中」は最後まで辿り着けずに終わってしまって残念でしたが、楽しい時間でした!



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yh馬