関内寄席ねくすとvol.8。 | 【 モヤトリアムな毎日 】

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モヤモヤで、モラトリアムな日常。

令和2年12月27日(日)
関内寄席 ねくすと vol.8
立川笑二「猪買い」
春風亭ぴっかり☆「たちきり」
立川吉笑「tion」
三遊亭粋歌「影の人事課」

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 本来は3月に行われるハズだった、二ツ目噺家4人の落語会。
新型コロナの影響で延期され、何とか年内にギリギリ開催されました。

 そんな事情から、元々ネタ出しが去年11月頃だったそうで、当初は立川笑二さんは「宿屋の富」を演る予定だったところ、会のプロデューサー、落語評論家・広瀬和生さんがこの間に2~3回その噺を観てしまって飽きたことから、演目が「猪買い(ししかい)」に変更になったそうです。「宿屋の富」好きなので聴きたかった。。
 そんな「猪買い」。元は上方の「池田の猪買い」で、立川談志が場所を江戸に移して目的地を秩父の山奥にしたものという。
 「腰痛には新鮮な猪を食べると良い」とご隠居から聞かされた八五郎が秩父へ向かう道中、全速力で走る人を引き留めて道を尋ねるくだりは、上下の切り方が見事で、真に迫った2人のやりとりが目に浮かぶ。
 そして長い距離を歩いたことから「すっかり腰痛も治ってしまった」だとか、猪を撃つ手前の八五郎と山猟師の掛け合いだとか、ずっと面白かったです。

 続いて春風亭ぴっかり☆さんは「たちきり」。
 ぴっかり☆さんはいつも声質や声量が聴きやすいのが良いですね。女流落語家ながら、しっかり若旦那が若旦那に、番頭が番頭になってる。そして女将は誰よりも女将らしく。
 花柳界にハマってしまい蔵に100日閉じ込められた若旦那。100日経って外へ出ることが許され、すっかり反省したのかと思いきや、何だかんだ周囲を言いくるめて、すぐ足が向いたのは柳橋。そして終盤。芸者・小久に会いに来たものの、小久は若旦那が蔵に幽閉されているうちに死んでしまっていて……女将の語りにグイグイ引き込まれる。何でしょう、この、小久が一切出てこないのに、小久の姿が目に浮かぶような語りの上手さは。

 仲入りを挟んで、後半は新作落語2本立て。

 立川吉笑さんは「tion」。これまた去年11月頃のネタ出しだったため、こんな「ハックション!ハックション!」と言い続ける噺が演目に(笑
 「2021年の花粉症は新型だから花粉を吸い込む前にくしゃみが頻発する」だとか、「新型だから鼻水は2024年まで出ない」とか、へその指3本分上のツボを押すと鼻水が止まり、指4本分上を押すと鼻詰まりが治るとか、そんな不条理のオンパレード。最後のオチはダジャレです(笑

 三遊亭粋歌さんは「影の人事課」。
 サービス残業と休日出勤に振り回される総務部人事課のOL・松浦が、ビル管理人という仮の姿で会社の悪癖に監視の目を光らせていた「影の人事課」から背中を押され、日和見セクハラ上司とゆとり部下への怒りを爆発させる噺。
 どこでもスパッと話を切り上げられる、落語らしい落語ってカンジでした。

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 約9カ月もの間、チケットを払い戻さず保管していた若手噺家の落語会。持ち時間ひとり30分ぐらいですか、それが4人分あって、都合2時間で2,000円とは格安。
 年の瀬に存分に楽しむことができました。


yh馬