FIKA(coffee break) ライブ参戦記 後編 | 964 makes me happy

964 makes me happy

試験運転中

 最終公演も時間通りに始まりました。 
 観客数は6公演の中で一番の入りだったのではないでしょうか?
 
 客席後方から登場したジョナら四人の音楽青年の姿を確認するや否や、あちこちから歓声が上がります。
 それは1stの比ではありません。
 なんだか今からアンコールのステージが始まるような感じです。
 一足お先に観客が出来上がっていました。
 
 その反応に「よし!今回は行けるぞ!」と。
 私と同じく連続参戦したガチンコのファンは、先ほどのステージで気持ちを乗せ切れることが出来なかった不満、不完全燃焼な気持ちを最後のステージにぶつけていたのでした。
 そして私と同じテーブルに着いていた三人の男性たちも既にフルスロットル!
 そのうち一番若い男性は特に気持ちが前面に出ていました。
 そうそう、日常ではいろいろあるんですから、この非日常の世界では思いっきり暴れなきゃ!
 
 セットリストは6公演すべて同じですが、観客の反応でどんな風にでも変化するのがライブ。
 その化学変化が楽しいから、気持ちがいいから演者は観客を煽り、観客は演者を煽る…。それがライブの醍醐味だと思ってます。
 
 1stとはまるで違う観客の反応にステージに上がったジョナは安堵の表情を見せたような気がしました。
 そしてサポートメンバーは「俺たちも盛り上げなきゃ」なんて気合を入れなおしたように見えました。(特にドラムのお兄ちゃんは)
 
 MCは短めです。
 当然、英語で。
 私のそれまでの英語学習の成果がここで問われます。
 およその内容は理解できましたが、やっぱり冗談の類が冗談とすぐに理解できずに歯がゆい思いをしました。
 (英語のジョークってかなり難易度高いですよね?)
 ジョナが冗談を言うも、私のようにそれを瞬時に理解できない観客の方が多いものですから、「スベッた」と取ったジョナが照れ笑いをして、その場を誤魔化す…なんてシーンがありました。
 これがDirtyLoopsのライブだったら、すかさずヘンリックが突っ込むんでしょうが…。
 「今回、このようにソロ活動を行う機会が与えられましたが、これはDirtyLoopsの活動にもいい影響を与えてくれるものと思ってます」
 今回のライブで印象に残ったジョナの言葉です。(およその意味で)
 
 DirtyLoopsの曲からジョナが影響を受けたというブライアン・マックナイトのカバー、そして自身のソロまで全11曲(だったかな?)と全体を通してジョナの美声が会場いっぱいに響きまして、こちらはウットリ。
 特にグランドピアノ一台のみでの弾き語りでは聴かせてもらいました。
 これはソロだから出来るのだと思います。
 つい、ジョナの伸びやかな歌声ばかりに目が行きがちですが、ピアノの技術だって引けを取ってません。
 言っちゃ悪いですが「こんな大男がこんなにも繊細な表現ができるなんて!」と。
 今後、DirtyLoopsでインスト曲の比率を上げてもいいのではないかと思うのですがね。
 
 ソロデビュー曲「Coffee Break」で本ステージは終了。
 が、アンコールの拍手はやみません。
 しかもそれは予定調和というか、「お義理」による拍手ではなく、もっとジョナのステージを堪能したい純粋なファンの気持ちが乗っかった熱のこもった拍手です。 
 
 いろいろ事情(笑)があるので、彼らはすぐに現れてくれます。
 日本公演最後の曲はもちろん「Hit Me」。
 「さ、みんな立って!」とジョナが言い終わらないうちから、次々にお客さんが立ち上がりました。
 そして、まだ立っていない人を見つけては、別の客が「あなたも!」と促します。
 この観客が一体となった景色に彼らが応えない訳には参りません。
 この日、最高のパフォーマンスを見せてくれました。
 鳥肌ものです。
 
 サビの部分は当然、皆で大合唱です。 
 Hit me Hit me,I'm gonna crazy~♪ 
 歌詞の通り、皆でクレイジーになりましたよ。(笑)
 
 6公演通してジョナのパフォーマンスは安定していたと思います。
 (昨年のリベンジを果たすため、かなり体調に気を付けていたのではないでしょうか?)
 中でも最後の公演が一番冴えていました。
 豊かな声量、音域。
 特に透明感のある高音は素晴らしいです。
 「喉からCD音源」というタグを付けたくなるほど。
 彼は純粋なスカンジナビアンですが、「スティービー・ワンダーの再来」と言われるのも納得のソウルフルな感性も魅力です。
 
 「終わりよければ全て良し」という言葉がありますが、初のソロライブはその言葉に集約してもいいくらい、最終日・最終公演は素晴らしいものになりました。
 私はすっかり興奮してしまい、同じテーブル同士、意気投合した男性陣としばしその余韻に浸りました。
 ライブの感想を肴にもう一杯やりたい気分です。
 すると一人の男性が「初日、二日目も2nd終了後、ジョナがファンサービスをしてくれたので今日もやってくれると思いますよ」と。
 「私は三日間通して2ndに通いまして、その都度サインを貰いました。彼はミュージシャンにありがちな偉そぶった態度などはみせず、本当にいい青年なんですよ」と、男性から見ると息子ほどの年齢差のあるジョナをベタ褒め、ベタ惚れしてました。
 
 会計を済ませロビーに出ると、男性が言っていた通り「サイン会&写真撮影会」を開いてくれるとの案内が。
 去年はサイン会だけでしたが、希望者は写真も一緒に撮ってくれるだなんて、何処までサービス精神に溢れているのでしょう!
 と同時に「こ、これは昨年、上手く自分の気持ちが伝えられなかった私にとっては、またとないチャンスではないですか!!」と一気に緊張が高まってきました。
 「今回の記念に」と、ジョナの顔がプリントされたTシャツを購入して、その時を待ちます。
 
 ジョナは190センチはあろうかと思われる体格の良さに金髪碧眼。
 実は私。
 いわゆる、日本人が想像する外人らしい外人の風貌をした人があまり得意では無いのですが、これからはジョナだけ例外にします。(あの見慣れない青い目にビビるんですよ)
 そんな誇り高きバイキングの青年が爽やかな顔をしてロビーに登場。
 2ステージをこなした後で、それなりに疲れているはずなのにそんな様子はみじんもみせず、ファン一人一人に対してとても丁寧に応えてました。
 あぁ~、なんていい青年なんでしょう!!
 
 いよいよ私の番が巡ってきました。
 「へ、Hej! Jonah.I had a great time,thank you…」
 これが私の限界でした。(笑)
 結局、昨年とそんなに変わらないレベルの挨拶に終始してしまいました。
 でもね、そんなものかもしれません。
 昨年、声イベントでも中原茂さん&井上和彦さんを目の前に固まった私ですから。
 日本語だからとか、英語を話すからとか、そんなのは理由では無いんですよ。
 憧れの人を前にしたときにはいつも固まるのが私なんです。
 
 最後に「Tack!(スウェーデン語で有難うという意)」と言って、夢のような時間は終了。
 昨年ループスの三人に貰ったサイン、そして今回ジョナに貰ったサインとツーショットの写真は私の一生の宝物です。
 自分の葬式の時には棺桶に入れて欲しいお宝です。
 
 ブルーノートを後にする前、改めて2ndステージで同じテーブルに座った男性陣に「また(DirtyLoopsのライブで)会いましょう!おかげさまで、本当に素敵な時間を過ごすことが出来ました!」とご挨拶。
 勇気をもって話しかけたことが報われました。
 そして何事にも一期一会の精神で臨むべきだと再確認しました。
 
 店の外は現実の世界。
 表参道の駅に向かうまでの間になんとか平常心の戻そうと頑張るものの、顔のニヤつきも高揚感も充足感も幸福感も収まりませんでした。
 ホテルに着いてからも興奮が続き、しばらく同じステージを堪能したであろうファンのツイートなどを検索し、再びの感動を共有する…。
 そんな感じで東京の夜は更けていきました。
 
 有難う、ジョナ。
 有難う、サポメンさん。
 有難う、場を同じくした観客の皆さん。
 有難う、ブルーノート東京。
 そして、私の家出を快諾してくれた旦那にも有難う!!
 
 みんなに感謝です。