だらだらと書き連ねてしまったが、旅行記も今回で最終回。
「思い出補正」がかなりかかっているとは思うが、私にしては「よく覚えていたな~」と。
ここまでお読みいただいた方にはもうしばらくお付き合いいただきたい。
旅の最後の目的地、月岡温泉へはJRで新発田まで行き、そこからは温泉行きのバスに乗り換える。
温泉へ向かう客は女性グループが多かった。
市街地を抜けたバスはのどかな田園風景の中を進む。
まだまだ田植えの時期には早いが、あたり一面に広大な田んぼが広がっていた。
このスケールの大きさは半端ではない。
そして景色の一番奥には北アルプスなのだろうか?まだまだ頂に雪を残したままの山々が連なっていた。
初めて見た景色だった。
恐ろしいまでの遠近感にしばし見とれる。
そして思った。
「そりゃ~この環境だもの!!美味しいお米とお酒ができるよ!」
【エピローグ】
非日常の時間から日常の時間に戻されるのは決まって帰りの飛行機の中だ。
座席のあちこちから宮崎訛りが聞こえてくると「あぁ~」と声にならないため息がつい、漏れてしまう。
最終便に近い飛行機だったので、無理して北の夕暮れ町には戻らず宮崎市内のホテルに泊まった。
夕食を取る。
旦那は「ご飯の味が違う。新潟のコメは違う!」とそればかり。
しかしそればかりでもつまらないので、軽く今回の旅を振り返る。
「そう言えばさ、パンツどうなっただろうね?」と旦那に話を振った。
すると、「パンツ?ああ、パンツね」と既に旦那は笑っている。
「掃除係の人はビックリしただろうね」
「あははは~、パンツ、パンツね~」
旦那は一人で笑い転げる。
「パンツ」とは旦那のパンツである。
佐渡のホテルでのことだ。
旦那が朝風呂に入るため着替えていると、「ビリッ」と布か何かの裂ける音がした。
てっきり、ホテルの浴衣を誤って破ってしまったのかと振り返ると、お尻の縫い目の部分が綺麗にパックリ裂けていた。
「なっ!!」
「あーっ!!!」
瞬時に何が起こったのか理解して顔を赤らめた旦那。
慌ててそのパンツを脱ぎ棄て、迷わずゴミ箱に投げ込んだ。
「どうして捨てるの?」
「い、いいじゃないか!」
我々の旅にハプニングがつきものになったのは、この「パンツ事件」がきっかけだったと思う。
そしてこの事件以来、私は旦那のパンツだけは気合の入った商品を買うと決めた。
そう、これが良い妻への第一歩だと今でも信じて疑わないのである。