新潟・佐渡旅行記 その三 | 964 makes me happy

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試験運転中

 【タクシーの運転手さん】
 レンタカーを借りて島を巡るのもいいかもしれないが、とりあえず滞在2日目はタクシーを一日貸し切ることにした。
 ホテルにタクシーを手配してもらう。
 朝10時。ホテルの玄関にタクシーはやってきた。
 車から降りてきた運転手はもう、老年の域にさしかかっている男性だった。
 「○○さまですね。○○タクシーの○○と申します。今日は一日、よろしくお願いいたします。ご予定はどのように?」
 「そうですね…」
 とりあえず、赤泊地区の蔵元を訪ねたいことと、真野御陵を訪ねたいことを伝えると、「それら島の南部と中部で全く別々の場所になるので、島を一周するようにして観光地を巡ってみませんか。やはり金山は欠かせないでしょうし」
 と提案してくれた。
 「あのぅ、乗り物酔いをしやすいので、ご迷惑をかけるかもしれません」と私が伝えると、「ええ、ゆっくり走らせますね。気分が悪くなったすぐに言ってください」との返答。
 このタクシー、とても年季の入った日産のグロリアで、加速も非常に鈍い車だった。
 坂道を行くときなどは、かなり無理しているのか、エンジンがうんうん唸っていた。
 乗り物酔いになる原因の一つに「ニオイ」があるのだが、この車はその条件をしっかりと満たしていて…。
 
 さて、ここから佐渡島をどのように巡ったのか、実は記憶にない。
 訪れた地のポイントポイントは覚えているのだが…。
 とりあえず「一日だけ」貸し切りを決めていたタクシー。
 ただ、この運転手さんの真面目に一生懸命に、そして誠実な仕事ぶりに感銘を受けた我々は、明日も引き続き貸切のお願いすることに決めた。
 
 8年前にもなる佐渡への旅をここまで明瞭に覚えている理由の一つに、この運転手さんの存在が非常に大きい。
 まさに「一期一会」。
 運転手さんのことはこのあとも触れるが、再び佐渡に赴いた時には必ずこの人を指名したいと考えている。
 そのために今でも帰り際に貰った名刺は今でもちゃんと保存している。
 今でも元気に運転手をしていらっしゃるのだろうか?