みちのくプロレスのザ・グレート・サスケのドキュメンタリー映画『THE GREAT SASUKE』(15年)。21年9月には東京・後楽園ホールでもプロレスの大会と併せて上映された。そのときからすでに北米公開バージョンとは違っており、現在も進化を続けているのだ。
現在はタイトルも変わり、邦題がついている(『THE GREAT SASUKE』とは、あくまでも海外向けの原題だったのだ!)。その名は、『ザ・グレート・サスケの宝モノ』。この邦題がつけられたいきさつを、主演のサスケに語ってもらった。
「実はいま、日本のとある配給会社さんと交渉中なんですね。この作品を私みずからがセールスしてるわけなんです。そのなかである配給会社さんが、条件を出しますと。その条件が映画祭にエントリーしてくださいというものだったんですね。しかもその映画祭が、2年に一度おこなわれている山形国際ドキュメンタリー映画祭。今年は10月にあるんですが、まずそこに応募してくださいと。そこに今年4月に応募しまして、そのときに邦題が必要だと。それでついたのが『ザ・グレート・サスケの宝モノ』ということだったんですね。
ではなぜ宝モノになったのか? 以前、後楽園ホールで上映したじゃないですか。あのときに配給会社の社長さん何名かに感想を求めたんですけど、ある配給会社さんは、感動のポイントがわからないと。ああこの人、見落としてるなあと思って、そこはネタバレになってしまって申し訳ないんですけど、被災した小学生の男の子2人が私のサインをもらって、『宝物をゲット』したねという声があるんです。そこが最高の感動ポイントなんですよ! そこで全米が泣いたんです!(?) だったらなぜ全米が泣いたかっていう話なんですけど、英語字幕がちゃんと出てるからなんですよね。This is my treasure!ってね。だからアメリカ人は泣いたんですよ。ところが、確かに日本人だと聞き逃してしまうかもしれないところもあるです。ドキュメンタリーだし、さりげない場面でもありますから。そこで、日本人だと見逃す聞き逃す恐れがあるなと思って、別バージョンでは変えたんですね。これは昨年、気仙沼で上映したバージョンで、そこの場面いっぱいに『たからもの』という字幕をドーンと入れたんです。どうだ、ここが感動ポイントだぞって無理やり日本人向きに作ったんですね。そしたらある方の感想で、あそこは(字幕なしでも)気づきますよと。あそこまでやる必要ない、やりすぎじゃないかと言われて(笑)。それであらためてその字幕のないバージョンを作りました。ほかにもやっぱり、あのシーンに感動したという声もあって。ああ、わかる人にはわかるんだなって思いましたね。というわけで、『ザ・グレート・サスケの宝モノ』なんです」 (つづく)

