今週のもう一本!「メガロポリス」(24年) | プロレスライター新井宏の「映画とプロレスPARTⅡ」

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週刊プロレスモバイル連載「週モバロードショー~映画とプロレス~」延長戦!

 巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が構想40年、私財を投じて完成にこぎ着けた超大作。しかし大コケで、評価も低い。それでもやっぱりコッポラ監督作となれば見逃すわけにはいかないのだ。新作を見て思い出したのは、『ゴッドファーザー』(72年)でもなく『地獄の黙示録』(79年)でもない。むしろ、『ワン・フロム・ザ・ハート』(82年)であり、『コッポラの胡蝶の夢』(07年)。最新技術の映像にもかかわらずなにか古臭く感じたのは、構想時代から考えが変わっていないからなのか。現代未来のニューヨークを古代ローマに見立てたアイデアがうまくいったとは決して言えないかもしれないけれど、『ワン・フロム・ザ・ハート』同様、『メガロポリス』も嫌いにはなれないのだ。コッポラ的には『クレオパトラ』(63年)『ベン・ハー』(59年)みたいな史劇スペクタクルをやりたかったのか。しかし、あまりにも金がかかるので誰も資金を出してくれなかった。だったらもう自分でやるしかないと決断したのだろう。映画館でコッポラ作品を観た。それだけで、ひとまず大満足なのである。