自身のドキュメンタリー映画の権利を得たザ・グレート・サスケが配給会社との交渉で出された条件が、映画祭への出品だった。その映画祭とは、1989年から東北地方・山形県で2年に一度開催されている「YIDFF山形国際ドキュメンタリー映画祭」。そして、出品に際し求められたのが邦題だった。それまでは原題『THE GREAT SASUKE』のままで上映されてきた本作につけられたのは、『ザ・グレート・サスケの宝モノ』。なぜ“宝モノ”になったのかは前回語ってもらったが、今回は次々誕生するニューバージョンについて。これはもう、『ゾンビ』か、『ブレードランナー』か、というくらいの多さなのだ。
「いったい全部でいくつのバージョンがあるのか? まずはMikiko Sasaki監督による北米版のオリジナルがあり、後楽園で上映したバージョンの反省から20分足したバージョン2・0というのがあります。そして今回、映画祭出品のために応募したのがバージョン3。バージョン2は山谷林檎とのシングルマッチの映像で終わっているんですけど、ものすごくスカスカで寂しい画に見えてしまうので、バージョン3ではそこを削除して、ふく面ワールドリーグ戦の映像にしました。それが先日の7月2日、盛岡のエスポワールいわてで上映したバージョンです。なので、大きく分けて3バージョンありますね。北米オリジナル合わせると4バージョンですか。そしてこれからも、増えます。なぜかというと、バージョン3を見た在日アメリカ人の方の感想から、さらに英語字幕を入れたバージョン4の作業をいましているところなんですね。どんどん進化してますね、ハイ。でもまずはその前に、山形国際ドキュメンタリー映画祭でエントリーされて上映されるかどうか。その回答が今月末(25年7月)に来る予定です。そこを通ることが、まずは第一関門ですね!」
『ザ・グレート・サスケの宝モノ』は、東北出身のプロレスラーを追うドキュメンタリーで、プロレスの話から政治、選挙の話へと広がり、震災から被災地への慰問も。そこで励まされたグレート・サスケ復活のストーリー! 日本ならではの文化や地域社会の実情を広く紹介する意味でも国際映画祭での上映にはぴったりと思うのだが、どうなるか! 朗報を待つ!

