ファイトクラブプロ番外編 ミリー・マッケンジー未公開インタビューを蔵出し! | プロレスライター新井宏の「映画とプロレスPARTⅡ」

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センダイガールズプロレスリングに参戦するイギリス人レスラー、ミリー・マッケンジーに話を聞いた。ミリーは仙女1・6新宿大会で笹村あやめが保持するセンダイガールズワールドジュニア王座に挑戦、一発でベルトを奪取してみせた。このインタビューは翌日の1月7日に収録したものである(王座などもすべて取材当時のもの)。

 

――まず最初に、あえてお聞きします。獲得したタイトルの名称は?

「センダイ、ジュニア、チャンピオンシップ…よね?」

――そうです。なじみの薄いであろう日本の地名がついた名称ですが、しっかり認識されていたのでよかったです。

「(笑)」

――笹村あやめ選手から奪ったときの心境はいかがでしたか。

「ものすごく感動したわ。私のキャリアでも最大級の感動。イギリス以外でタイトルを取ったのは初めてなので、よけいにそう思えました」

――タイトルマッチが決まったときはどうでしたか。

「まだイギリスにいるときにその話を聞いて、驚きました。私には思ってもみなかったサプライズ。ただただもう驚きの一言。本当にビッグサプライズね」

――試合前は緊張しましたか。

「ええ、とてもナーバスになっていたわ」

――ジュニア王座ですから、若い選手のためのベルトですよね。

「とてもクールだなって思います。通常、チャンピオンシップといえば、もっとも強い選手のためのものだけれど、若い選手にチャンスが与えられるのはモチベーションにつながるのでとてもいいなと思ったの。そこに選ばれたことが、とても光栄。私のような選手たちのために作られたようなベルトでしょ。しかも勝つことができて、とてもうれしいです」

――外国人選手が一発でベルトを奪取したことも驚きでした。

「サプライズ!サプライズ! チャンスがもらえただけでもラッキーなのに、ベルトも巻くことができて、本当にうれしいわ」

――それにしても、タイトルマッチは予想をはるかに上回る好勝負、大接戦でした。しかも接近戦が中心で、ある意味で女子プロレスらしくない試合でもありました。笹村選手との試合は、最初の約5分間、一度もロープワークがなかった。密着戦が主流でしたね。

「ハイ」

――あのスタイルはどうやって学んだのですか。

「多くの選手から教わりましたが、ピート・ダンのトレーニングから学んだことが大きいの。あのスタイルの多くは、ピート・ダンから学んだものね」

――ピート・ダン選手はWWE NXT UK王者ですよね。

「ええ。ブリティッシュスタイルを熟知したレスラーで、私もそういう試合がやりたかったの。ジャパンでは、イギリスの選手がジャパンとは異なるスタイルだと思っているはずなので、それを見せることが必要だと意識していました。意識して、ああいうスタイルの試合になったんですよ」

――グラウンドでの攻め方も、ピート・ダン選手から教わったのでしょうか。

「ピート・ダンや、ファイトクラブプロのプロモーターで元レスラーのマーティン・ザキ。そういった人たちから学んだものです。それに、トラヴィス・バンクスからもたくさん教わりました」

――トラヴィス・バンクスは来日経験こそありませんが、彼から教えを受けたイギリス人レスラーは多いですよね。

「そうです。私もそのひとり。彼のトレーニングはとてもハードだけど、すごく効果的なテクニックが学べるの。カリスマ性もあるし」

――イギリスのレスリングもだいぶ変わりましたよね。

「そうですね。すごく変わったとよく聞くわ。タイラー・ベイト、ピート・ダンといった選手が出てきてから、すごく言われるようになったみたい」

――ところで、ミリー選手はまだ18歳だそうですね。

「ええ、18歳です」

――そもそも、プロレスを知ったのは?

「全然おもしろくない話よ(笑)」

――構わないですけど。

「ありきたりのよくある話で、テレビで偶然見たのがきっかけ。すぐに大好きになって、放送があれば欠かさず見るようになったの。それで自分もやりたくなって、トレーニングをはじめたのよ。ありきたりのパターンでしょ(笑)」

――確かに典型的な話ではありますが、最初に見た試合、レスラーを憶えていますか。

「WWEのスマックダウンで、ドルフ・ジグラーvsジョン・シーナだったと思うわ。これなに?と思ったら、もう次の瞬間には夢中になっていたのよ。それから欠かさず見るようになったのね」

――プロレス好きになってからハマったレスラーはいますか。

「ジュン・カサーイ!」

――ジュン・カサイ? 葛西純選手ですか。WWEではないですね!?

「そうね(笑)。ジュン・カサーイのデスマッチが大好き。アメリカ(CZW)のトーナメント・オブ・デスも見るわ。ジュン・カサーイのほか、MASADA。アブドーラ・コバヤシの試合も好きよ」

――デスマッチをやったことはないですよね。

「まさか、まだないわ(笑)」

――やりたい?

「ええ、ぜひ(笑)」

――ホントに?

「もちろん(笑)」

――イギリスのファイトクラブプロでもデスマッチがおこなわれますよね。

「ええ、いつか私も仲間に入れてほしい(笑)」

――練習は男子選手としているんですよね。

「そうね。イギリスでは男女関係なくやっています」

――イギリスではそれがふつうですよね。

「ええ。女子選手がいれば、女子も一緒に男子と練習しますよ。なので、私も男子と闘うような試合がもっとしたいなって思います」

――ミックスドマッチもあるにはありますが、日本では基本的に男子と女子は別々に試合をします。

「そうですね。ジャパンにはガールズプロモーションが多いので、そうなるんでしょうね。基本的にイギリスでは女子だけのプロモーションが少ないので、男子のなかでやることが多いんです。ミックスドマッチもふつうに組まれます」

――男子とも闘う経験が昨日のタイトルマッチにも活きましたか。

「そうですね。テクニックの面で、勉強してきたことが役に立ったと思います」

――実際、昨年2月にはクリス・ブルックス選手のFCP王座に挑戦していますよね。里村明衣子選手以前に挑戦した女子レスラーということになります。

「ええ。女子選手でFCPのシングルのベルトに挑戦したのは私が初めてとあって、すごく光栄でした。すごくいい経験になったと思います」

――その1年後、里村選手がFCP王者になりました。女子選手が挑戦するきっかけをミリー選手がつくったことになります。

「だとしたらうれしいわ。メイコはすごいレスラー。いつか私とメイコでFCPのベルトを争いたい。そんな夢があります」

――女子選手同士で男子のベルトを懸けて闘うと。

「ええ。FCPの歴史に残るわ。それで勝てればうれしいな(笑)」

――ミリー選手は昨年7月、8月、WWE NXT UKに参戦しましたよね。

「(参戦オファーの)メールが来たから(笑)。最初がキラー・ケリーとのダークマッチ。8月がNXT UK女子王座決定トーナメントへの出場でした。ケンブリッジとバーミンガムで試合をしたの。バーミンガムは家から近かったので便利だったわ(笑)」

――ここまで、どんな国で試合をしてきましたか。

「イングランド、ウェールズ、スコットランド、ポルトガル、ドイツ、ジャパン。こんなところかな」

――ヨーロッパ以外となると、日本だけですね。初来日の前、日本のプロレスについてはどの程度知っていましたか。

「えっと、ビッグジャパンが好きだし、センダイのプロレスもチェックしてました。トーキョージョシもね」

――日本で闘いたいレスラーは?

「ジュン・カサーイ(笑)。女子では、たとえばDASH・チサコ、カサンドラ宮城。でも具体的に誰ってことはなく、誰とでも闘ってみたいわ。まだジャパンについてそんなに詳しくないし。それにもちろん、来日前の昨年9月にEVEで対戦した橋本千紘とも」

――日本のプロレスはどうですか。

「グレート! アイ・ラブ・イット、リーリー・ラブ・イット! イギリスとはまた違う試合で、大好き」

――イギリスではすでにいくつかタイトルを手にしていますが、日本での初タイトルは継続参戦へのきっかけにもなりますね。

「そうですね。すごいことね。やっぱり特別なことだし、このベルトの防衛戦をイギリスでやりたいな」

――たとえば、誰を挑戦者として迎えたいですか。

「チャーリー・エバンス。彼女とは一緒にトレーニングしてきた仲だし、彼女とやってみたい。これまでのトレーニングの成果をはかる意味でもね。彼女はパートナーでもあるし、ライバルでもあるの」

――オーストラリアの選手ですよね。

「ええ、いま、22歳で、キャリアは5年くらいかな。オーストラリアからイギリスに来たの」

――オーストラリアからイギリス、といえば、ミリー選手はトニー・ストーム選手に似ていません?

「それ、よく言われるの(笑)。トニーは尊敬する選手よ」

――以前、試合をしたこともありますよね。確か、ラダーマッチだったと思いますが。

「そう、ラダーマッチ。私が勝ったの(笑)。これがなにを意味するのかわからないけど(苦笑)。彼女とは2回試合をしています。ラダーマッチと3WAY。3WAYでは私がトニーにフォールされたので、1勝1敗ね」

――今後は?

「日本にたびたび戻ってこれるようにしたいわ。1年のうち、数ヶ月を日本で試合ができるようなプロエス生活を送りたいわ。オーストラリアでも試合がしたいな。いろんなところで試合がしたいし、これからがとても楽しみなの」

 

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