岩波ホール | やまちゃんの映画館ブログ

やまちゃんの映画館ブログ

ごく普通のサラリーマンが、全国にある単館映画館のご紹介をするブログです。是非ご覧ください。

今年の1月12日朝のニュースで『岩波ホール』閉館を知りました。

閉館理由は「新型コロナの影響による急激な経営環境の変化を受け、劇場の運営が困難と判断」と書いてありました。

 

正直それほど通っていた映画館ではなかったのですが、最後の上映を目に焼き付けておきたいと思い、閉館日の7月29日午後休暇を取って神保町へ

 

 

『岩波ホール』のある岩波ビルは、地下鉄神保町駅のA6出口と直結しています。この建物の10Fに岩波ホールが入っております。

この日東京は、最高気温34度の猛暑日に迫る暑さ。後悔したのは、電車賃をケチって水道橋駅から歩いてきたらワイシャツが汗まみれに。

 

 

建物の横には大きなポスター、最終上映作品は「歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡」

「アギーレ 神の怒り」などのベルナー・ヘルツォーク監督のドキュメンタリー作品です。

岩波ホール閉館にあたって、過去の上映作品特集が組まれるのかなと思ってましたが、最後まで通常上映のスタイルを貫いたんですね。

 

 

『岩波ホール』の入っている岩波ビルは1967年完成の建物、築55年目なんですね。都度改装をされているのでしょうが、古さが感じられません。

1968年に開業した岩波ホールは、当初多目的ホールとして使われていたそうですが、1974年2月 エキプ・ド・シネマ(フランス語で映画の仲間)運動によって常設映画館『岩波ホール』がスタートしました。

 

 

岩波ホールに入るのは、8年ぶりです。以前は1階にチケットガイドと書かれたチケット売店があったのですが、今は10F受付に集約されてました。

 

 

エレベーターで10Fに上がる。新型コロナの影響で受付の間隔も広く取られてます。

入口で検温とアルコール消毒後、受付のお姉さんに一般料金1,800円をPayPayで支払って入館、入り口付近では閉館を名残惜しむ方がスマホやカメラでロビーを撮影しておりました。

この日の到着は、14:30上映の1時間くらい前だったのですが、16:30の上映回は既にチケット完売。

 

 

 

ロビーの壁には今まで上映した映画フライヤーが年代別に貼ってあります。全作品貼ってあるのかな?壮観です。

この映画館のコンセプトは、〝上映されることの少ない、アジア・アフリカ・中南米など欧米以外の国々の名作の紹介

欧米の映画であっても、大手興行会社が取り上げない名作の上映”と書かれていました。

なので、必ずしもその国のタイムリーな作品が上映されるわけではありません。1974年最初に上映したインド映画、「大樹のうた」は1959年の作品です。

 

 

入口脇には、今までの上映を労うお花が届けられておりました。

胡蝶蘭には「54年間ありがとうございました」とメッセージが添えられておりました

 

 

ロビーで上映を待つこと1時間、磨き上げた床にダウンライトが映っていてきれいなホールですよね。『岩波ホール』閉館後の予定は決まっていないそうです。

この30分後ロビーは、人であふれ返りました。

この映画館は、日本で最初に入れ替え制を取った映画館です。座席は自由席でチケットに書かれたNO順に呼び出しがあり座席を選べます。

 

 

上映室に上がる為のらせん階段がロビーの端に

 

 

上映開始10分前から開場となります。「チケットナンバー1~5番の方」というようにチケット購入順に館内に入って座席を選びます。普段あまり座らない最前列の一番端に席を確保。

上映前「54年間ありがとうございました」のアナウンスと上映作品紹介後場内が暗くなります。

 

 

本編上映前に、今までの公開作品のフラッシュバック映像が流れました。

最終回には、岩波支配人が閉館のご挨拶をされたというのは、翌日の新聞記事で知りました。

 

 

客席を見渡すと最終日14:30の上映も座席192がほぼ満席。

この状況がずっと続いていれば、閉館にはならなかったのでしょうが、もう足を運べなくなると思うと寂しいですね。

想いでに浸っているのか、上映終了後なかなか席から立ちあがらないお客さんが散見されました。

 

 

『岩波ホール』の閉館に伴い、近くの千代田区立図書館では、地域連携コーナーに「ありがとう岩波ホール」というコーナーが設けられておりました。

エキプ・ド・シネマ 名画を発掘し続けた岩波ホール②というタイトルで「日本映画」「南米」「アジア」「アフリカ・中東」「戦争」「女性監督」をテーマにスタッフの声を紹介しておりました。

又、興行収入トップ5は「宋家の三姉妹」「山の郵便配達」「八月の鯨」「眠る男」「父と暮らせば」もポスターで紹介されておりました。「山の郵便配達」は2001年に観に行った私の大好きな作品です。

 

世界に埋もれた映画の発掘公開というのは、相当な労力を要する仕事だったんだろうなと思います。

このような映画館がなくなってしまうのは、残念でなりません。常設でなくても限定公開してくれないかなと切に思います。

 

【岩波ホール】

観賞日時:2022年7月29日14:30
観賞映画:「歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡」 

 

住所:東京都千代田区神田神保町2-1 岩波神保町ビル10F

HP:

 

オープン:1974年2月 
料金:一般 1,800円(会員制度あり)

スクリーン:1

上映形態 :ロードショー
音響:SRD
スクリーンサイズ:不明
座席数:192