Fukushima 50 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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忘れてはいけない。豪華キャストで紡がれる、名もなき人々の戦いの記憶。

2020年3月6日公開
監督:若松節朗
出演:佐藤浩市・渡辺謙・吉岡秀隆 他

【賛否両論チェック】
賛:誰もが知る事故の真実と、その現場にあって命懸けで困難へ立ち向かっていた人々の存在に、観ていて頭が下がる想い。
否:専門用語が非常に多く、難解で分かりにくい上、想像以上にストーリーが淡々と進んでいくので、なかなか感情移入がしづらい。


ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・基本的にはなし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気は少し怖いかも


 東日本大震災発生当時、福島第一原子力発電所に残って戦い続けた作業員達の姿を描いた実話です。主演は佐藤浩市さんと渡辺謙さん。

 2011年3月11日午後2時46分。宮城県沖130キロを震源とする、マグニチュード9.0の大地震が発生します。福島第一原子力発電所・中央制御室でも、1・2号機当直長である伊崎利夫(佐藤浩市)の指揮の下、訓練通りに対応を開始。外部電源は喪失しますが、すぐに非常用電源へと切り替わります。緊急時対策室も設置され、所長の吉田昌郎(渡辺謙)が入るのでした。

 ところが本震からしばらくして屋外へ出た作業員達は、海岸の向こうに巨大な影を目撃します。すぐにそれが大津波だと気づき、作業員達は屋内へと退避。この時福島第一原子力発電所は、想定を遥かに超える14~15メートルという大津波に襲われたのでした。津波はそのまま建屋を直撃。電源装置が海水をかぶってしまったことにより、全交流電源を喪失してしまうのでした。

 突然の停電に状況も分からない中、避難してきた作業員達から、大津波が来たことを知らされた伊崎。このままでは原子炉を冷却することが出来なくなり、過熱した核燃料の炉心溶融(メルトダウン)が起きてしまいます。また、圧力容器と格納容器内の圧力が上昇して爆発すれば、大気中に大量の放射能がまき散らされ、東日本が壊滅状態になる恐れがありました。そんな事態を何としてでも回避するため、現場に残った作業員達の、原子炉を冷やすための決死の作業が始められるのでしたが・・・。

 東日本大震災とそれに伴った福島第一原発事故という、誰もが知る出来事の中心で、あの時実際には何が起きていて、どんな想いの人々が未曽有の困難へ立ち向かっていたのか。そんなことを痛感させられるようで、改めて頭が下がる想いです。佐藤浩市さん演じる伊崎当直長が、原子炉建屋へ向かう者を募るシーンに、思わずウルっと来てしまいました。

 また、そうした命懸けの現場を省みず、自分達の都合だけで物事を進めようとする本店や官邸の姿も赤裸々に描かれ、巨大な組織体系や日本の旧態依然の体質といった部分も、改めて真剣に考えさせられるようです。

 ただ難点をいえば、その性質上仕方がないことではありますが、やはり専門用語がとても多く登場するので、正直1度聞いただけでは何のことだか分からないまま、なんとなくシーンが過ぎていってしまう部分も多いです。展開も思っている以上に、かなり淡々と事実だけを追っている印象も受けてしまいます。

 それでも、決して忘れてはいけない人々の戦いの記憶であることは、想像に難くありません。軽い気持ちでは勿論観られませんが、是非ご覧になっていただきたい作品です。


【ワンチャン・ポイント】
※和田正人さん・・・本作では、第1班当直主任の本田彬役。最近の映画では、「花戦さ」や「関ヶ原」といった時代劇や、西島秀俊さんと佐々木蔵之介さん主演の「空母いぶき」、坂口健太郎さんと吉田鋼太郎さん主演の「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」等にも出演されています。


オススメジャンル&オススメ度・・・<感動したい>

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