パージ:大統領令 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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当たり前の日常の大切さ。追いつめられた主人公の、決死の戦い!!
 
2017年4月14日公開
監督:ジェームズ・デモナコ
出演:フランク・グリロ
エリザベス・ミッチェル 他
 
【賛否両論チェック】
賛:前作までの知識は不要。誰に襲われるか分からない緊迫感の中で、要人を守ろうと孤軍奮闘する主人公の姿が痛快で、ハラハラさせられる。当たり前の日常が存在する幸福も、改めて痛感させられる。
否:ホラー映画のように急に驚かせるシーンが多く、グロシーンもかなりあるので、苦手な人には全く向かない。
 
ラブシーン・・・基本的にはなし
グロシーン・・・メッチャあり
アクションシーン・・・メッチャあり
怖シーン・・・急に驚かせるシーンがかなりあり
 
 
 1年のうち12時間だけ、あらゆる犯罪が合法化される大統領令「パージ」を描いたサスペンス・第3弾です。
 
 政治が弱体化し、貧困率や犯罪率が急増したアメリカでは、「NFFA(再建されたアメリカ)」という政権が誕生。以来25年に渡って、1年に1度、12時間だけ全ての犯罪が合法化される大統領令“パージ”が採用されるようになり、犯罪率は1%を切るまでに改善されたのでした。
 
 しかし25年後の現在、パージはその存続を巡り、世論を二分した議論の真っ只中にありました。パージ廃止の急先鋒は、女性上院議員のチャーリー・ローン(エリザベス・ミッチェル)。18年前のパージで、自分以外の家族全員を目の前で惨殺された過去を持つ彼女は、パージの即時廃止を公約に掲げ、ついには次期大統領候補にまで上りつめたのでした。一方現政権のNFFAは、ローンと黒人活動家のビショップの2人を要注意人物としてきましたが、大統領選挙を目前に控え、大統領は遂にパージによって邪魔者を排除することを厳命。かくして3月21日の午後7時をもって、この年のパージが発令されるのでした。
 
 ところが、パージの開始時刻が間近に迫る中、ローンの姿は自宅にありました。警備責任者のレオ(フランク・グリロ)は、他の政治家達のように隠れ家に逃げるよう再三忠告していましたが、ローンは
「逃げも隠れもしない。」
と聞かず、自宅にとどまる意志を崩しませんでした。そのためレオは、自宅の警備を強化、シークレット・サービスや監視カメラを増員し、狙撃手も配置。万全の態勢で、パージの開始を迎えるのでした。
 
 当初は何事もなく過ぎていきますが、実はシークレット・サービスの内部にも、裏切り者が潜んでいました。レオも気づかない間に、外にいた警護や狙撃手は殺され、手引きされた傭兵達が建物内へと侵入して来ていたのでした。なんとか間一髪で異変に感づいたレオは、ローンを連れて命からがら脱出に成功。そこから、無法地帯と化した街を舞台に、文字通り命懸けの逃避行が幕を開けるのでしたが・・・。
 
 前作までの知識は、なくても大丈夫そうです。“パージ”という設定そのものが荒唐無稽で、グロシーンもメチャクチャ多いので、そもそもの好き嫌いはハッキリ分かれそうですが、街中の誰に狙われるかも分からない四面楚歌の状況下で、レジスタンスの長を守り抜こうと孤軍奮闘する主人公の戦いに、思わず手に汗握ります。
 
 同時に、当たり前の日常があることがどれだけ幸せなことか、嫌というほど思い知らされる内容でもあります。恩人の店を共に守る青年・マルコスが呟く、
「(自分が生まれたメキシコの)フアレスでは、毎日がパージだ。」
という言葉が、不思議と胸に染みるようです。
 
 展開にも賛否はありそうですが、気になった方は是非。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※設定が似ている映画・・・本作は、12時間だけ犯罪が合法化される〝パージ”を描いたものですが、同じように〝制限時間内で犯罪が許される作品”としては、哀川翔さん主演のゼブラーマンの続編「ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲」がありますね。こちらは1日のうち5分間だけ、犯罪が合法化されています。他にも〝街中の誰に狙われるか分からない作品”としては、懸賞金が懸けられた凶悪犯を警護するSPを描いた「藁の盾」や、『逃がしてくれた奴に1億ドル払う』と宣言した麻薬王を警護する特殊部隊を描いた「S.W.A.T.」等があります。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>
 
 
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