帰ってきたヒトラー | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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歴史は繰り返す。クスッと笑えるブラック・ユーモア。

2016年6月17日公開
監督:デビッド・ベンド
出演:オリバー・マスッチ
ファビアン・ブッシュ 他

【賛否両論チェック】
賛:ヒトラーが現代で人気を博していく様を、シュールな笑いと共に痛烈に風刺していくのが印象的。
否:笑いの感覚はやや日本のものと異なるので、笑えるかどうかは観る人次第。政治色も少しある。

ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・基本的にはなし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気は少しだけ怖いシーンがあり


 現代にタイムスリップしてきたヒトラーが、モノマネ芸人としてブレイクします。

 閃光と土煙に包まれ、倒れていたその男、アドルフ・ヒトラー(オリバー・マスッチ)。やがて意識が戻り、辺りを見回すと、そこには敵兵の姿はなく、空にも戦闘機の影はありません。そこへ転がってくるサッカーボール。見ると近所の子供達がサッカーをしており、そこをテレビ局のクルーが撮影していました。狐につままれたような感覚のまま、町を歩くヒトラー。すると町の人々は彼を見て笑い、カメラで写真を撮られまくります。なんとか官邸に帰ろうと、犬を連れた婦人に話しかけたヒトラーは、変質者と間違われ、催涙スプレーをかけられてしまうのでした。それでもやっとのことでたどり着いた新聞の売店で、その日の朝刊を目にしたヒトラー。薄れ行く意識の中で彼が目にしたのは、“2014年”という日付でした。

 一方こちらは、貧困層の子供達を取材していた、テレビ局の雇われ社員・ファビアン(ファビアン・ブッシュ)。彼のテレビ局では、局長がやり手の女性社員・カーチャに代わりますが、てっきり自分が昇進すると思っていた副局長のクリストフはガッカリ。早速人員整理を進め始め、その煽りを食らったファビアンは、あっさりクビにされてしまうのでした。ところがその日の夜、撮った映像を自室で観ながら、失意に暮れていたファビアンは、ふと映像の後ろの方に映っている人影を発見し、驚きます。それこそが紛れもなく、あの“アドルフ・ヒトラー”なのでした。

 そのころヒトラーはというと、新聞の売店に入り浸り、情報を読み漁っていました。頭の良い彼は、すぐに自分が未来に来たことを把握し、現代が1930年代とあまり変わっていないことを知るのでした。その後、クリーニング店で軍服を洗濯したヒトラーを、あのファビアンが訪ねてきます。てっきりヒトラーのことを、ホンモノに成りきっているモノマネ芸人だと思ったファビアンは、その全くブレないキャラクターを気に入り、早速2人で各地を巡りながら、全国行脚の映像を撮り始めます。ヒトラーが各地で今のドイツへの不満を問いかけると、人々は面白半分本気半分で、現在の政治への不満を語ります。一方でヒトラーのことはすぐにネット上で話題になり、彼は一躍時の人となっていくのでしたが・・・。

 設定はとても斬新です。現代へとやってきたヒトラーが、モノマネ芸人として祭り上げられていく中で、当時にはなかったメディアを駆使して、次第にその支持を拡大させていく様が、コミカルですが痛烈な風刺と共に描かれていきます。

 一方で、笑いそのものはかなりシュールというか、日本人の感覚にはやや合わない感もあります。時折交えるドキュメンタリーテイストな展開も、好みが分かれそうなところでしょうか。

 政治色も少しあるので賛否は必至ですが、笑うに笑えないある種の問題作を、是非チェックしてみて下さい。


【ワンチャン・ポイント】
※今回はお休みです。


オススメジャンル&オススメ度・・・<笑いたい>


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