少女椿 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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ハマると危険(笑)。奇怪すぎるユーモラスな世界観。

2016年5月21日公開
監督:TORICO
出演:中村里砂・風間俊介 他

【賛否両論チェック】
賛:意味不明な内容の中にも、少女の純粋な願いが儚く描かれ、奇術の助けも相まって先の読めない形で結実していくのが、痛快であり印象深い。
否:ストーリーや演出はかなりシュールなので、好みに合わないと極めて苦痛。ラブシーンやグロシーンも多数あり。

ラブシーン・・・メッチャあり
グロシーン・・・メッチャあり
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・シーンによっては少し怖いかも


 禁断のマンガが実写映画化です。サーカスに売られた少女と、そこへやってきた奇術師の姿を描いていきます。

 主人公・みどり(中村里砂)は、小さなサーカス団「赤猫座」の団員でした。かつて幼くして父親が蒸発し、母親(鳥居みゆき)も無惨な死に方をした彼女は、赤猫座に拾われ、一座に加わったのでした。しかしその扱いは決して良いものではなく、神社の境内でこっそり可愛がっていた犬達を殺され、その晩の鍋の肉として出されたり、目の前で団員同士の夜の営みを見せつけられたり、時には彼女自身が乱暴されたりしているのでした。それでも弱小の赤猫座は赤字続きで、親方の嵐鯉治郎(中谷彰宏)はすっかり頭を抱えているのでした。

 そんなある日のこと、赤猫座に小包が届きます。親方は何故か小包に
「先生!!」
と呼びかけ、団員達は首をかしげますが、中に入っていた小ビンに1人の紳士が入っているのを見て、驚きます。ビンから出てきた男は、西洋奇術を使うワンダー正光(風間俊介)。彼こそが親方の呼んだ切り札でした。そして彼がやってきてからというもの、赤猫座の人気も急上昇していくのでした。

 また、正光は団員達からイジめられているみどりを気にかけ、
「これからは僕が守ってあげるから。」
とささやきます。その言葉通り、正光はみどりを他の団員の嫌がらせから守ってくれるばかりか、彼女が望む幻想を見せてくれるようになるのでした。みどりは次第に正光になつくようになりますが、面白くないのは他の団員達。名実共に正光が稼ぎ頭であるため、文句も言えず、正光は次第に横柄な態度をとるようになっていくのでした。そんなある日、自分の気持ちを押さえ切れなくなった鞭棄(佐伯大地)が、神社の境内でみどりに言い寄ります。その現場を見てしまった正光は激怒。鞭棄が1人になったところを見計らい、幻影を見せて惨殺してしまうのでした。しかし実はその様子を、みどりは木の陰から目撃してしまっていたのでした・・・。

 その設定自体もシュールですが、急に幻想的なシーンになったり、アニメーションになったりと、演出もかなり奇抜です。もうそこからして好みは分かれる感じだとは思いますが(笑)、展開も結構意味不明で、人によっては苦痛なことこの上ないかも知れません(笑)。

 ただ、そんな中でも一貫して描かれるのは、
「誰かから大切にされたい・・・」
と願う少女の、純粋な気持ちです。彼女の願いを叶えようとする奇術師によって、その想いが予測不能な方向へと進んでいく様は、訳が分からないストーリーの中にも痛快さがあります。

 シュールな作品が好きな方には、是非オススメの1本です。


【ワンチャン・ポイント】
※深水元基さん・・・本作では、主人公に辛く当たる団員・赤座役。最近の映画では「新宿スワン」での、綾野剛さん演じる主人公の上司役や、「ラブ&ピース」での、長谷川博己さん演じる主人公の同僚役、そして「映画 みんな!エスパーだよ!」でのエスパー役等が有名なところ。いずれもそのコワモテを活かした怪演をなさっています。

オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>


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