林業、鹿ネット巡視、考察[山人2024]-其の2- | 望創家、蜃気楼が如く

望創家、蜃気楼が如く

夢の引きこもり生活を目指し日々修行中

ひとの数だけ例外あり

「やりたくないことをやっている暇はない」


 

『ため息が出るスギ苗状態…』

 

(※今日は鹿ネット巡視(保守点検)が全く追いつかない現実的なお話だよ)

(※こんな幼いときから枝打ちされてるような状態)

 

世界の

 

「自然界には摂理がある。つまりは法則。その中にある黄金比など、ありとあらゆる人生の糧となる数字が存在している。そこにどのように関わり加わっていくか、己の歯車がどの位置に合うのか、常に日々感じ生きて欲しい」

 

と朝のミーティングで呟く先輩に「えぇ、先輩はコンマ2(ユンボ)の運転席が一番フィットしていて出られないその状況をなんとかしてください」と思ったことのある皆さん、こんばにちは。望創家ノリです。


本日の大分県山間部は曇り雨。冬の雨でございます。お陰様で山の雪も9割は消えました。が、作業が進まない日々を過ごしております。


皆さんの地域は如何でしょうか。

 

さてはて、ここに来てペースダウンです。ペースはダウンですが、それはメインの仕事の話でして、サブの話は進んでいるのであります。

 

 

過去の上記のblog記事はもうお読みになってますでしょうか。

 

今のメインの仕事は、2.5mの作業道を1m拡幅後の砂利敷きです。3m幅で20cm厚の砂利道づくり。

 


 

『ほとんど砂状態で締め固めができない砂利敷き』

 

(※偏りが多く、難しい…)

 

この砂利が厄介でして、ただの砂利ではなく[石粉(いしこ)と言って(漢字は合ってるかは知りません)、岩を砕いたときに出るであろう[粉]が大量に砂のように混ざっているのであります。多分それはこの砂利(小岩?)を敷いたときに、その石と石の間に(隙間に)入り目詰め効果を上げ、石が動きにくくなり、崩れにくくさせるためだとは思うのですが…しかし今回はその石粉の量が多すぎて…入れ込むだけ入れ込んでしまい…しかも水(雨)を含むと…ぐちゃぐちゃになり、バケット裏にベチョベチョとくっつき、ゲンナリ。

 

転圧をすればするほど沈み…岩と石粉の配合が不規則なために…乾いてからローラーをかけたくなるほど。

 

(※砕石現場では[割石(わりいし)]とも呼ばれています。岩砕(がんさい)か岩滓(がんさい)のどちらかにも。栗石(くりいしorグリ)とも)

 

天気がよければうまく敷けるのですが、それでも手前から敷きながらどんどん奥に行かなくてはいけない現場で、敷いたそばから砂利運搬車の2トンダンプの接地圧の高さで踏まれるので…荒れ荒れなボコボコな道に…。敷いていて嫌になる材料であります。


(※本来可能であれば一番奥から手前に向かって敷いていく方が仕上がりが綺麗で、その後もイイのですが、現実的に下地が緩い土道なので2tダンプがバックでずっと走っていくことが困難)

 

こういった気苦労が多く、無駄に疲れ続けてここ3〜4年はきました。


(※真面目な性格な故?)

 


 

『こうやってネットの下のアンカー(杭)が抜けるぐらいな力でグイッと侵入してきます』

 

(※アンカーの消費も半端ありません)

 

昔は結構我武者羅で、そんな材料でもとにかく「20cm厚で敷く…どうユンボのバケットを動かせばいいのだろう」と研究ばかりしておりました。

 

結局のところ、行き着いた先は… 

 

「林業に土建業者の施工クウォリティは必要ない(と思う)

 

でした。

 

まずは単価が違うので…林業は、

 

「如何に早く安く、それなりに使える」

 

そこを目指してるような…

 

単なる砂利敷きでも、敷く前の地の転圧をきちんとして、それから敷かないと、結局敷いた砂利も落ち着かず平らに仕上がることはありません。

 

何でも[地]です、[ベース]が大切です。

 

残り200m、いつ終わることやら…

 


 

『雪で凍っているときは逆に敷きやすいのです』

 

(※雪が溶けたら…ぐちゃぐちゃ)

 

はい、一旦今回の主なお話に戻りましょうね(笑顔

 

blogタイトルにもある[鹿ネット巡視]。

 

最近定番化してきた[考察ネタ]と[徒然ネタ]

 

今回は[考察ネタ]を。

 


 

『大物が歩き固めた鹿ネット内の惨状』

 

(※草が深く、雨の日には特にずぶ濡れ…)

 

冒頭でここ最近の悪天候をお伝えしましたが、そう、[悪天候=鹿ネット巡視]な悪しき[雨の日対策]になっている窮状な望創家特殊部隊。

 

雨の日には基本的には現場仕事は危険です。なぜならそこは勾配のキツイ場所が大体であり、泥で滑るのが一番厄介です。

 

そしてこの時期は…

 

「濡れたら寒い」

 

当たり前に鹿ネットに行く望創家特殊部隊。勿論大雨時には行きませんが、途中から大雨になっても、一度鹿ネットに囲まれた現場内に入ったら…

 

「出入口まで遠い」

 

ときは多々あり…雷が途中で鳴り出したら…

 

「ネットがワイヤー入りのため危険」

 

なので、ネットから離れないといけません。

 

岩場だけではなく、イガイガの中を歩いたり、薮だったり、とにかく傾斜がきつくても、

 

「鹿ネット巡視だから、ネット沿いを歩かなくてはいけない」

 

ので…真っ直ぐに上下移動は普通にあります。

 

つまりは[雨天時は特に危険]なのであります。

 

そんな鹿ネット巡視をここ数日雨天時にやりながら…突然に、

 

「この鹿ネット…切れてて直すのもいいけど…そもそも鹿ネットって…役目を終えたら今後どうするの?」

 

と、何気ない疑問が脳裏を掠め(かす-め)ました。

 

年間何百万円という鹿ネット巡視(補修資材費や人件費や事務手続き費など)費用をかけて獣害対策費をかけるのはいいのですが…

 

(※一日二人で巡視して…ただ歩くだけでも大変です。直した箇所も写真を撮り現場MAPに記載し、担当者に渡し、担当者は膨大な量の写真とMAPを紐付けし台帳をつくり提出します。年4回分のデータをその都度まとめ…そう考えると人件費もかなりかかりますよね…それらをチェックする人も必要で…)

 

この鹿ネット巡視も、うちの方では植えつけから[5年間]、らしいです。

 

「その後の鹿ネット維持管理は、どうなるの?」

 

とも思いました。

 


 

『可哀想なカタチになってるスギ苗ちゃん』

 

(※植えた責任か、植えられた責任か、こういう姿を見続けると…自分の仕事にも虚しさを感じます)


とにかく鹿ネットが切れる原因の8割は、なんだと思いますか。

 

「人為的ミス」

 

がメインです。

 

夏場の下刈り時に草木に混じった鹿ネットを、刈払い機で切ってしまうのです。


その下刈りをする人にお金を払い、その人が切った(刈払い機で切った)ネットを直す望創家特殊部隊にもお金を払い…なんか滑稽に感じませんか。

 

(※下刈りの人がネット補修をしてくれることも勿論ありますが、極々少数です。ポールすら切ってもそのままの人がいるぐらいです)

 

それなら下刈りをする人たちにある一定のルールを設け、作業手順を増やし、その分色をつけて賃金を払えばいいと思いませんか。

 

具体的には…


・鹿ネット際まで攻めて下刈りをしない

→気持ち的にネット沿いの草は残す

→草が残って鹿ネットの下側の隙間が見えづらくなっても、もし隙間があったら獣道で直ぐに分かります

・下刈り後は皆で鹿ネット巡視

→この分の作業代を下刈り代に上乗せ

→上乗せ量は多めにし過ぎない

→ミスを減らす意味でも作業代はそこまで上乗せしない

→補修が面倒と思ったらネットを切らない努力が生まれると思うので

・作業後は必ず出入口ゲートを閉める

→これが意外に多く鹿たちが出入り自由になる

 

最低でもこの3つを行うことによって、同じ経費をかけるでも、全体で見たら経費は安くつくと思います。

 

こういったことをしていかなければ下刈りの意味もありません。

 

下刈りで幼い苗を切ってしまうのは極論仕方のないことです。しかし折角下刈り後に生き残った苗も、その下刈り中に切られた鹿ネットの破れにより侵入した鹿によってことごとく食べられてしまいます。

 


 

『あまりよくは見ないでください』


(※これ級がかかると、ネットやポールがやられます。因みに下半身はありませんでした)

 

夏場の鹿ネット巡視はとても大変です。

 

資材を持って道なき道を上下に移動し、虫だらけで…鹿がネットに引っかかっていたら…そりゃぁ…ニオイでまず死ねます。

 

下刈りも相当に大変です。

 

しかし下刈り後に切った本人が直す必要性がなければ、皆仕事が雑になってきます。そういう意味でも[下刈り後には鹿ネット巡視]は義務付けさせた方がよいと思いました。

 

次に残りの1割に獣害。

 

これはある意味、それこそ仕方のないことだと思います。

 

閑静な住宅街に突如現れたビル群が…な気分でしょう、鹿たちにとったら。

 

彼らの生きる世界に勝手に入り、囲いを設け、

 

「今日からこの土地は俺らのものだ」

 

と言われているようなものなんですからね。しかも[花園]。そりゃぁ…入りたいですよね。

 

その花園に侵入失敗した者、その花園に侵入は成功したものの脱出に失敗した者、沢山見てきました。


 

『霧が深く寒い冬の山』

 

(※鹿ネット際に作業道があったらラッキーです。巡視が楽チンです)

 

最後に残る1割は、自然災害です。

 

この昨今の水害級の雨が原因で、落石や地滑り、倒木で鹿ネットがゴッソリやられます。張り替えレベルです。

 


 

『災害級な雨が降るのが分かっているので…広い道は入れたくないのですが…』

 

(※この望創家の道のせいで山が崩れやすくなるのも悲しいです。多分来年にはこの道沿いの木も伐られ、鹿ネットが張られるのでしょう)


 

「木を伐る」


→地拵えをする(山を片づける)

→鹿ネットを張る

→苗を植える

 

ここまでの工程で沢山の仕事を生みます。今を生きる私たちには[イイコト]です。

 

そして問題の下刈り作業で更に仕事を生みます。

 

この下刈り作業員の数が減ってきています。その前の植えつけ作業員も。

 

これに対処する意味でも[植えつけ]に工夫をし経費をかけていくのもいいのかなとも思うのです。

 

作業代が上がれば成り手も増えてくるかもしれません。

 

前に実験林のような話をしましたが…以前upした画像ですが…

 

 

『異様な光景』

 

(※山に墓標が…という風に見えました)


果たしてこれがいいのか分かりませんが、かなりの労力を使って植えてあります。これをすることによって鹿ネットは逆にしなくて済むということ、らしいです。今後の鹿ネットの保守点検の費用を考えると[植えつけ費用+鹿ネットの材料費]を植えつけ作業員に支払いをしてもいいかもしれません。

 

 

『ここは場がいいからいいですが…植える場所を選びますね』

 

(※この筒と棒に工夫がなければ…大量のゴミが山に残ります)


そして今後の鹿ネットのメンテ費用が浮く分、その一部をこういった苗や植えつけ方研究に費やしてもいいのかもしれません。

 

今後の課題は、

 

・苗に筒を設けることによってどのような苗の発育環境になり成長を遂げるのか

→発育状態が気になります。蒸し枯れなど

・筒の影響で風の抵抗が増え、台風時にはどうなるのか

→やがて筒は自然に還る素材なの

・苗の成長に支柱が邪魔せずにきちんと自然消滅か何かするのか

→現在は園芸用の樹脂被膜がついたスチール棒に一見見えました

・鹿たちは本当にこれで食べるのを諦めるのか

 

兎にも角にも、保守点検期間の[5年間]が過ぎたあと、見放された鹿ネットと苗たち…心配です。

 

特に今の[梅雨時期]は尋常ではない雨の降り方です。降るのはいいのです。降り方が昔と違うので…土砂崩れが頻発に山で起こります。

 

そしてこの筒状の苗…中に雨水が溜まり(ゲリラ豪雨のとき)溺れ死なないのかも心配です。

 

5年経った幼な木は一人立ちできるのでしょうか。

 


 

『この雪解け水が苗にはいいそうです』

 

(※大きくなれよ)

 

鹿ネット頼りなこの地域、この鹿ネット全体が崩れゆくのは10年ぐらいなのでしょうか。それとも20年ぐらいなのか。

 

何十年も支柱(ポール)が立ち続けても、ネットを潜って入るのは容易です。

 

そして放置された鹿ネットたち…何十年後かの山人たちの[鹿ネット除去]という仕事を生むのでしょうか。

 

「全伐前には必ず鹿ネットをポールとネットに分けて回収して…あ、あと、プラスチックのアンカー(地面にネットを固定するために打ちつける杭)も忘れずに。アレ、自然に還らないから」

 

ってなり、

 

「えぇ〜アンカーはカエシが付いていて抜けないですよ!てか、ネットもそれで取れないですよ!切るのも大変〜!ワイヤー入ってるやん!」

 

…と想像すると…ただ山に捨てられる運命なのかなと想像します。

 

(※今思いましたが、もしかして…アンカーはプラスチックではないのかな…先々を考えたらプラスチックだと自然には単なるゴミにしかならないし…)

 

それか繰り返しの再利用を考え…鹿ネットをそのままに…全伐…間伐…その前に除伐…嗚呼、切り捨ての除伐や間伐、大変そうですね。倒す方向が限られてしまいますね…。

 

ただでさえ今でも山で働く多くの人は…

 

・タバコの吸い殻

・タバコの箱(包装用ビニール)

・オイル缶

・空き缶

・重機の高圧ホース

・その他

 

などを山に捨てています。

 


 

『面白いカタチで成長しています』

 

(※何が美味しくて鹿はスギを食べるのか…)

 

補助金は国民の血税であり、国民の意思(意志)だとも思っています。

 

「このお金で日本の山々を綺麗にしてください」

 

そう感じ、山に向かっています。

 

林業には多額の補助金が存在しています。

 

その[補助金]という名前は弱々しいですが、そんな意志のある強いお金だと思っています。ですから有効活用していきたいのであります。

 

今後の鹿ネット巡視ですが、できれば違ったカタチになって欲しいです。

 

現実的に割に合わない危険な仕事だからです。

 

梅雨時期の被害が特に大きく、労力と資材費が嵩み(かさ-み)、ただの鹿ネット巡視ならいいのですが、土砂災害による鹿ネット張り替えなど、他の現場を抱えての[年4回(巡)実施]には無理があります。

 

地滑りや落石による鹿ネット被害地での張り替えは、再びそこで同じことが起きる可能性があるところで作業をするということで、作業中の危険性が簡単に理解されると思います。

 

鹿ネット巡視部隊を専門につくって取り組むならできなくはないと思いますが…それに見合った対価の売り上げを考えるなら、厳しいと思います。

 

今後皆さんが事務方として、または現場人として[鹿ネット巡視]に携わることがありましたら、何かの参考にしてみてください。

 

まずはあれですよね…

 

「勾配何%以上や岩場には植えつけをしない」

 

これを国レベルで決めて欲しいです。

 

これによって今後の死傷事故と土砂崩れが確実に減ると思います。

 

これからの人口減問題。

自ずと木材の消費量も減ってくるかと思います。

 

その近い未来に合わせて林業も[再造林]だけを考えるのではなく、昔の里山に戻す方向に森林環境贈与税もうまく使い、日本を美しくしていきませんか。

 

雨が降れば山が保水し、少しずつ濾過した綺麗な水を川に流し、そして海に…再び山に還るために天に昇り…

 

このサイクルを皆で守っていきませんか。

 


 

『来週から砂利敷きも再び頑張ります』

 

(※雨降ったら鹿ネット巡視に行きます…)


 

あれです、

 

「すべての道はローマに通ず」

 

それでは皆さん、また次回お会いしましょう。

 

Ciao!

 


 

『望創家が死ぬ頃には伐期なのかなぁ…』

 

(※50年後の林業が想像できません)

 

追記:

 

鹿ネット巡視をしていると

 

「鹿ネットを張らないで苗を植えて、下刈りもしないで自然淘汰されて生き残った苗だけが育ってくれるぐらいが自然には丁度いいのでは」

 

と思ってしまうのであります。

 

ある意味植えつけとは[自然に還す作業]にも感じるのです。養殖した稚魚を川に放流するアレです。

 

その野生の世界に放たれた子どもたち(苗)を守る意味でも[狩猟]に力を入れ、鹿たちを適正数にするのが、やがての林業の正常化にもつながるのかなとも思います。

 

さて、狩猟免許取りに行きますか。

 

皆でできることを探していきましょうね。

 

確実に言えることは、誰かが命を懸けて山の健全化を図らなければ、やがて下界に住む人たちの生活に確実に影響が出ます。他人事ではない話です。

 

それが林業が背負うものだと思っています。

 


 

『5年間の間に鹿にやられ続けても頑張って育っているスギたち』

 

(※これが自然界です。弱肉強食です。スギ自身も何らかの毒を持つようになるかもしれませんよね。その順応性を促す意味でも…過保護はダメですよね)

 

鹿ネット巡視用アイテム

 

 

『杭(アンカー)&ポール打ちにも使ってます』

 

 

『ワイヤー入りのネット補修用紐とナイロンロープ切りに』

 


 

『鹿ネット巡視用タクティカルベスト』

 

とにかくタクティカルベストは便利です。