新月の船出 雲の波間割り
すすむ夕べに 秋の風吹く
沈む夜に 光る爪痕
新月の 凛として
舞うコウモリと浮かぶ
半月の 潔き白さ すっぱりと
夕空を斬る 小刀の如く
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一杯の茶を呑む 我の拙さに
身の程を知る 茶会デビュー哉
静寂に包まれた中 呑むお茶の
挙措 一つ一つ 考え抜いて
抜く襟の如く たをやかに
師のやはらかく 弟子のギコちなく 笑
様々な石を貫く 糸のやうに
人々をつなぐ一杯のお茶
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風揺れる
芦屋の川の 緑茂り
犬もご機嫌 るんるんと往く
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旅に出ると 早く帰りたき
君の顔 浮かぶ
港のカモメの如き
寺田町の唐揚げ
三ヶ二百十二円
優しい甘い 好きな味

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圧巻の演技たまゆら
霧雨に濡れ咲く
菊のおだやかに照る



