2024/03/05 | 森由 壱 - tune bride -

森由 壱 - tune bride -

... という 、夢を視ました 。



性感帯が悲しみと繋がってしまった以上、
それを解除する必要がある。

でも、
涙が溢れる日が定期的に来ているのは、
治癒に向かっている証拠だ。

生命の危険を感じて余分な葉を落とす
木の自己防衛反応と同じように、
体が呼吸を始めた証拠だ。

二、三週間ほど前の、
体が重く熱くこわばった侭
眼球が抉り出そうな程かっぴらかれた侭
床から起き上がれなかった日々を考えると、
今こうして時折
涙が出るくらいになったのは、
自浄作用と捉えて
かなり前向きな症状である。














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抄子は自分にドライな割には
行けば建前上優しくしてくれる
自分には無関係の男や、
過去に自分を建前上でも庇ってくれた上司の
たわいもない記憶を思い返しては、
時折襲い来る絶望と想像が無い混ぜになった
快感と不快感を体に並べては
自分にもはや生殖機能が無い事を確認した。










今の抄子にとって
この先肉体に擦り寄ってくるどんな
温度や"快感"も
決して抄子を助けず、寧ろ
嘲笑いながら当たり前のように
使い捨てのトイレットペーパーを流すように
自分の心体を、子宮を、命を踏み躙って
去ってゆくという確信にしか
繋がらないのであった。












生殖器として機能しなくなったメスにも
こうして命を与えられ
奪われていないからには
何か使命でもあるのかもしれないし、
無いのかもしれない。

それは、生きてみないと分からないし、
その上で死んでみないと分からない。

自分にできる父母や先祖、自分への供養は、
せめてそれについて生きながら考える事に
楽しみを見出すことくらいしか無い。















なぜされた側が忘れる努力に苦しみ、
身の潔癖を確認する為に
やる気と聞く気のない女医を相手に
根気よく冷静に状況を説明し、
「必要は無さそうなので全て自費になる」
との対応を呑み、
財布から"性病検査"に二万を払い
肘内の血管に針を刺して
SSサイズでも十分痛い検査棒を
ぐりぐりと押し付けられながら
余りの痛さに悲鳴を上げるわたしに
失笑と爆笑を押し殺せない女医らの眼前に
自分の性器を晒さなければならないのか。


そういう怒りも
世の中の大半には笑い話で
流されるのであろう。

ならば
そんな世の中に
もう何も期待せず
貢献しようともせず
ただひたすら自分を守り
残された時間を楽しむのみだ。

この先ひとに優しくすること
されることがあったとしても
それは全て、自分がしたいからであり
された優しさがその時限りのものだと
割り切って忘れて生きてゆくのがよい。



大崎善生作品の「ソウルケージ」が刺さって
カフェで泣いた。










笑いながらリストカットをする代わりに
わたしを晒しながら生きる。

笑いながら銃を乱射する代わりに
笑いながら加害者の家ごと爆破する代わりに
笑いながら自分を晒して生きる。

誰に理解されなくても
冷たい視線で嫌煙されても構わない。

それだけの苦しみを受けた自分が
この不快感を持ちながら生きる上で
唯一できる精一杯の
自己防衛である。













世の中に、都合の良い線引きで
認められず対処されない性被害が
どれだけあるだろう。

肉体的な殺人と精神的な殺人に
どれほどの罪の差異があるのだろう。

人の性感帯から心からぶち殺して於いて
"してない"で済ませる加害者と社会が
この"先進"世界で未だに容認されているのが
現実である。











誰かに心配されたいからではない。
そうする事で自分を保っている。
ただそれだけである。


疎むなら
そういうわたしにした加害者もセットで
疎んでくれないか。












少子化?上等だよ
そんな男の為に社会の為に
誰が子供産むんだよ


女の生殖器バカにすんのも
いい加減にしろ