漣のおとが聴こえる
さざ波の音がきこえる
夢できみの少年時代に居た気がした
隣で話した少年はきみに似ていた
漣のおとが聴こえる
さざ波の音がきこえる
ぼくは左隣からぼくに
顔を擦り寄せて話すきみの腕に額を寄せながら
右隣の四角い少年に相槌をうつ
二人の少年が別々のホームに分かれて立って
ぼくは二人とも同じ駅へ行くとばかり
思っていたから
四角い少年が
ぼくの行きたい駅ではない駅名を言った時
慌てて怒って
真向かいの反対方向のホームに走って渡った
線路をまたいで
列車が迫る中を走って..
それはきみがいるホームで
たまたまぼくも同じ駅へ行くみたいだった
漣のおとは好きだ
さざ波の音が聞こえる
ひとは知ってか知らずか
崩れるとわかるような場所に
砂の城をつくる
漣の声がする
さざ波がきみを描く
たとえ明日には消える城でも
その城を消すのはこのさざ波
ぼくたちは互いに
幻を描いては
消されてく
このさざ波のように
揺られながら
喪っては 夢を視る
きみはこの砂のように
何度崩れても
ぼくに囁きかける
このさざ波に攪拌されて
点描のように姿を分解されても
尚ぼくの左隣から
頬を擦り寄せる
ぼくはきみが好きだ
Je t’adore.
フランス語は意外とたどたどしい
崩れた城の砂たちが
今日もさざ波と夢を成す
ぼくときみをつなぐのは
このたどたどしい歌だけ
このおぼつかない夢だけ
