「死ね!」
女は今月一腹から声を出して、壁に掛けていた絵を床に投げつけた。
買ったばかりのトイレットペーパーに当たって弾みがつき、軽くて厚みのある木の枠が幸をそうしてか、傷一つ付いていなかった。
-好きになった画家の絵の末路なんてこんなもんだよね。やっぱりね。ふふん-
その残骸を床に転がした侭放置して寝床に戻る。
女は自分でも嫌になって敷かれた侭しわくちゃになった布団に寝転んだ。
こんな男に今までしがみついていたんだと思うのと、どんな男でも自分と関わるとこんな風になるのかと思うと、やりきれない悔しさでいっぱいになった。
自分の大好きになった男がことごとくゴミのように自分を扱いゴミのような存在になってゆく現実が堪らなかった。
暫く廃人のように寝っ転がりながらYoutubeでひとしきりくだらない動画を観ている間に、ふと気力が沸いた女の手は、無事に男のLINEをブロック削除した。
無事に。
友達に報告してくだらない話をする。
「いる?」というと、いらないという友達に、「バッキバキにしようかな?」というと、それもいいかもね、と言う。
「でも、あの絵はほんとにいい絵だと思うから、もったいないかもね」
そう?と言って女はLINEを閉じた。
不思議なことに、あれだけ好きだった絵も、不快の対象となっていた。
自分を適当に扱うような奴に心を割くな。
ゴミのような扱いをしてくる男はゴミのように捨てろ。
女は目に浮かぶ男の顔に死ねというセリフの槍を100発ぶん投げながら、目を閉じた。