夢の中の白い手. | 森由 壱 - tune bride -

森由 壱 - tune bride -

... という 、夢を視ました 。


夢の中の
あなたは優しかった

ぼくを探しあて
後ろからそっと
両の手を握ってくれたんだ

誰でしょうとぼくに云う
あなたの声だとわかっても
ぼくは夢のなかでも信じられなくて

何度も何度も
感触をたしかめようと
握り返したんだ

あなたの手は
わたしが思っていたより
やわらかくて大きめで

かつての男の
白い手の感触を
想起させた









夢の中でのその手が
あなただとわかった瞬間
ぼくは何も云はずに立ち上がって振り返って
きみに抱きついたんだ

あなたはじっと
動かずにぼくに
抱きついた侭でいさせてくれたんだ









夢じゃなくてよかったのに
夢ならば
そのまま醒めてくれなくても
ぼくはよかったのかもしれないのに