鏡の前の「母」 | 森由 壱 - tune bride -

森由 壱 - tune bride -

... という 、夢を視ました 。


老いた母が生前のように
ジャズの一曲を弾いていて
その一所懸命“歌って”弾く彼女の周りを
沢山の人が温かく見守り

そんな彼女にお母さん、と駆けよる
その横顔が
夢の中では「お母さん」と思っていたが
目が覚めてあれは自分の顔だったと

まじまじと思い返した朝があった









母の最期の御姿は
鼻が特徴的だったが
「お母さん」と呼んで駆けよった「私」
の老いた横顔も
鼻が赤く擦りむけたような
そんな特徴があった









また昨日の午には
電車でほんの何分かの間
微睡んだ際に

わたしは自分のことを「お母さんはね、」
と言い、その傍には
かわいい黒髪でおかっぱの
小さき女の子がいた

噴水の隣で
わたしはその子に優しくさとし、
傍にその子の父、わたしの夫らしき
人が居たような空気感ではあった









その子の顔立ちが
どれだけクロップしても
はっきり思い出せた
或いは
はっきりと思い描けた

こんなたかだか2-3分の間なのに
こんなに肉感と温度感
色彩、景色、音の感じまで鮮明な夢は
不思議で




 
 

  

わたしはもうすぐ死ぬのかしらと思ったり
わたしは近い未来に母になって
この子と出会うのかしらと思ったり









ふと鏡を見た瞬間に
はっとする時がある
自分を視ている筈なのに
其処に母が映っている気がして

わたしの横顔
父親似の筈であるわたしの横顔が
時々 否ここ最近頻繁に
母そっくりなのである

母を懐かしんで
そう思うだけなのか
どうかはしらないが

人間はこうして
年を取って自分を親と重ねて往くのかと

ある意味重複した人生を送っているような
母の人生とオーバーラップしているような
なんとも不思議な気持ちになり

まるでわたしである以前に
わたしは母の体で生きているような
そんな不思議な気持ちになる時がある。