ハダカノヒトミ | 森由 壱 - tune bride -

森由 壱 - tune bride -

... という 、夢を視ました 。

 
時には濡れて歩くのも
いいね
 
きみの瞳のように黒い水たまりが
わたしを見つめ返す
 
こんな雨の日を 
きみと歩きたい
 
雷の音が
忘れたはずのわたしのズキズキの音みたい
 
彼がわたしに触れたのは
あれが最後だった
 
彼の瞳が優しかったのも
あの日が最後だった
 
閉じたまま死んだ貝は
二度と生きては開かない
 
きみへの思いは二度と
息を吹き返すことはない
 
きみを思い出すと
塩酸を流し込まれたように
食道から爛れてゆく
 
呑み込んだ砂利を
吐き出しても吐き出しても
なくならないのは
 
わたしのハラワタに
貴方が住み着いているから
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
激しく降っては
すぐに上がる雨
 
情緒不安定な夜に
わたしは傘を何本買うの
 
つるされた玉ねぎのように
使わない傘ばかりが魔除けのように
玄関を占拠する
 
 
 
 
 
 
 
 
 
時には濡れて歩くのも
いいね
 
着ている服とか
髪とか化粧とか
持ち物とか全てに構わず
 
裸で浴びるシャワーのように
濡れて帰っても
誰も文句は言わないし
 
死にはしない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こんな雨の日には
きみと並んで歩きたい
 
胃の腑を溶かすようなきみでも
僕は優しかった頃のきみを
今でも抱きしめて生きているから
 
こんな雨の日には
濡れながらきみと
並んで歩きたい
 
涙か雨かわからなくなった睫毛で
本当に裸になったきみの瞳を
たしかめたい