雨の日 赤い傘 母とわたし | 森由 壱 - tune bride -

森由 壱 - tune bride -

... という 、夢を視ました 。


雨の日 ざああ
又 この季節がやってきた

雨の季節は思い出す
夢の玄関先 母のくれた赤い傘

雨に消えてく後ろ姿
母の少しよれたワンピース姿


アイを巧く伝えられない母だった
でも わたしが気づかなかっただけで
沢山 伝えようとしていた
わたしが受け取れなかっただけで
本当は沢山 伝えようとしていた
本当は沢山 わたしに伝えていた

毎日 仕事に出かける時には
置き手紙のように
マンガを書いてくれていた
毎日 毎日 くだらないマンガを

母は絵が巧かった
わたしはよく笑った
くだらないのに
母は笑わせるのも 怖がらせるのも
非常に上手だった

気づいていないのは わたしだった
母の不器用なアイジョウを
受け取れないのはわたしだった


買いたいものを買ってくれる母でも
甘えたい時に甘えられるような
優しい母でもなかったが

毎晩欠かさず
お祖父ちゃんに電話をする母だった
「精進しなさいよ」が
口癖のお祖父ちゃんだった










雨の音、ざああ
傘を差しながら思う

母のこと

わたしがもし子を生んだら
母にできなかったことを全部するだろう
母がわたしにしてくれたように
裏切られても 憎まれても
ぞんざいに扱われても
道を踏み外しても

母がわたしにしてくれたように
わたしも 母に返せなかった愛を
全て その子に注ぐだろう










雨の音、ざああ
車が光を濡らして通り過ぎてゆく

光が濡れてゆくのは
幻想的で
雨の夜は好きだ










母の存在が わたしの砂漠に
雨を降らしてくれる
母がいなければわたしは
もっと 非道なニンゲンになっていた










雨の音 ざあ
来年も 又再来年も
思い出すのかな

母と歩く日は
雨が多かった

降るような 降らないような
そんな天気が多かった










又 歩きたい
いつか 小さくなった母と

今度はわたしが
あなたの母になって 。






画 
Arjun Riyue