心にたね。 | 森由 壱 - tune bride -

森由 壱 - tune bride -

... という 、夢を視ました 。




心にたねが有るひとは
それだけでたぶん
幸せだ

心にたねが無いひとは
からっぽの白い皿を
見つめているようなものだ

やるべき水もなく
耕すべき土もない
育てる未来がない皿に
写るのは曇った自分の顔



心にたねが有るときは
死なないように土を作って
芽吹くように水をやって
元気に育つように太陽に当てて
うまくいかなければ
一喜一憂する

皿にたねが入っている分
わづらわしい
土も水も
たねも
育てば育つほど重くかさばるし

いらない枝葉を切ったり
危ない虫を駆除したり
添え木をしたり
植え替えたり

気にかければかけるほど
手間が増えるし
怠れば怠るほど
手に負えなくなる



それでも
長い年月死ぬまでの間
いくら身軽だからって

真っ白なからっぽの皿だけ
ぼんやり持って
そこに写る自分の
ただ老いていくさまを視て
何の為にもならない生理食塩水を
時々顔から垂れ流すような人生だけは

ごめんだ



長い年月
死ぬまでの間
それでもあっという間に
年を取る時間の中で

どんなに手に負えなくなっても
自分が素敵だと思ったたねは

拾って捨てないで
ほったらかしにしないで
忘れないで

それが一つでも 二つでも
沢山あっても
手が回らなくなりそうでも

だいじに育てて
いつか心に
大樹が 草原が 森が
できればいいなと思うの



大きな一本の樹でもいい
小さな野草でもいい
無数の木々や草花でも
石に生える苔でもいい

自分には手に負えない
痛みや苦しみに出会った時
わけがわからなくなった時
何もかも切り捨てて
閉じ籠りたくなった時

小さくなった自分を
投げ出さずに休ませてくれるような
見守ってそよいでいてくれるような
見上げて笑いかけてくれるような

そんな世界を
この小さな皿に
育てたい

この小さな胸の中に
育てたい