出逢いは突然にやってきた
何もかもがはじめてで
何のためらひもなく押し寄せた
すべてがあらがひがたい偶然で
嵐のやうにわたしははじめてを経験した
きみは秋の木の葉のやうに
わたしの胸に朱を被せ
拒むわたしの底を見抜いた
わたしは自分でも気づかぬ侭に
なかば強引な快楽を受け入れた
誘い水のやうに
それは貴方を柔らかくした
わたしにとっての貴方が
異物ではなくなった瞬間
わたくしは貴方の肌に
安らぎを感じた
貴方の肌を知って
はじめて貴方を視た気がした
貴方とあのまま別れていたら
いつまでも異物だったかもしれない
こんな風だから
突拍子もないことが
人生にはあるものだとつくづく
お茶を呑み々み
考えております。
目隠しをされて
きらひだと思っていた
得たいの知れないものを口に押し込まれたら
それがとてもやさしくて
高揚する味だった
という感じでせうか。
わたくしのはじめてのソウシツは
そのやうに
けしてかなしひものではなく
むしろ貴方のやさしさと性欲で
多少ロマンチックでかつ
楽しいものでありました。
長年生きてオトナにもなりますと
人はどんどん日常がアタリマエに覆われて
新鮮さを失うものですが
貴方との出逢いは
このはじめてのソウシツの一点に於いては
わたくしの一生に幾度もない
忘れ得ぬ光彩を与えたと云ってもよいでせう
だからといって
きみを一から百まで
とんでマイナス273.15度から14エクサケルビンまで
好きになるとはわからないし
きみがどれくらい
あたしを好きになるかも
わからないけれど..
少なくともあたくしに
今まで誰一人としてもたらすことのなかった
未知の幸せを与えた功労者として
この先どんなことにならうとも
貴方を大切にしようと思います。