ここから
ふしぎなじかんが視える
蒼く大気と霞んだ彼方
あたしはあなたと あの層にいた
地平線を埋め尽くす人間たちの
住処と仕事場のはるか点
霧をたれ込める彼方の一点は
ふしぎなじかんが流れる場所だった
線と点がつながらない
切り離されたあの時間は
ほんとうに霧のごとく
蒼くあたしの記憶に浮かび上がる
足のない幽霊のような時間は
嘘になってしまったあなたの感情を
露骨にあたしの胸にくりかへし
あたしが壊れてゆくのを視たくて
舌なめずりして待っている
舌なめずりして 待っている
あたしは結局
蒼い時間には戻れず
幽霊になってしまった
あの時のあなたに
時折叫ぶ
あなたが好きよ
ただそれだけ
でもたぶんきらいよ
これからはずっと
あの 足のないふしぎなじかんが棲むらしい
彼方の蒼のあの辺にいる
いつかの二人を 汗の流れる炎天下の屋上から探して
強い塩分を含んだ汗が目を塩漬けにするまで
太陽に焼かれながらずっと視ていた