不可視日記 ⅩⅩⅩⅢ | 森由 壱 - tune bride -

森由 壱 - tune bride -

... という 、夢を視ました 。






夏蟬の声は 木枯らしの声
夏蟬の声は 木枯らしの声

貴方のいない夏に降る
熱くて寒い 木枯らしの声



ことばでいくら 思っても
軀は熱く 蟬の声
こころで キライ と云ッたって
軀が 貴方 探してる



夏に降る 木枯らしの声
蟬たちの 声に焼かれて
きみ想う哉


めまぐるしく
いつのまにか
二人とも変わってゆくし

そのうち
お互いの気持ちなんて
話さなくなってしまうのでしょう


少しばかり時を重ねたからって
少しばかりいい気になって
わかったつもりになって
みる間にすれ違ってゆく二人がこわいの



わたしは貴方が好き
あなたはわたしがキライ?







...








夏蟬の声の降る前夜
新月の夜だったあの日

あなたの煙のとなりに立って
風に吹かれるままに包まれていた

風上にはあなた
風下にわたし
あなたがどんな煙を吐こうと
そこにあなたの匂いがするから


夜灯に浮き出るシルエットを背に
貴方の吐く煙に包まれるのが好き



きみの吐く煙は やわらかくて
すこし刹那い 春の雲

なまあたたかい 夏の夜に
わたしを包む 春の雲

微かに涼しく 仄かに刹那く
あなたの煙は 春の雲



このままあなたが煙になって
何処までも わたしを包んでくれたらいい と
眼をつむって 吸い込むあいだに


すたすたと あなたは夜の中




わたしはあなたが好き
あなたはわたしがキライ?






...








夏蟬の声 夏蟬の声
身を切る熱さの 木枯らしの声


こころでキライと 叫んだッて
軀はいつも あなたを想う


こころできみを 蹴ッたって
匂いがいつまでも 遺ってる
軀に 春が 遺ってる



夏蟬の声に 春が抗う
あなたの匂う 春が抗う

身を切るような木枯らしに
あなたの吐いた 煙が抗う


わたしはいつも 煙の中
あなたの纏う 煙の中
春の幻想に抱かれて

木枯らしの中 きみ想う



風上にはあなた
風下にあたし


あなたがどんな場所にいようと
あなたの匂い 感じるから




時々でいいから 好き と云って
風下に向けて 好きだと 云って

あの夜 包まれた春の雲に
抱かれて わたしは 耳を澄ますわ


いつか窓から入りくる
夜風に あなたを聞くかしら
どこかで やわらかくわたしを見つめる
あなたの声を 聞くかしら ?    ..














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