内出血の跡のような 色した朝焼けを視た
かじかんだ初恋の傷から滲んだような 色
冷凍された初恋が うまく解凍されずに
血の滲んだ水が分離してしまったような そんな
朝焼けの 色
ぼくは魚のようなキミがキライだ
つるつると光る肌 ヌラヌラと微笑する目
触るとガリガリと ヒッカくような痛い鱗
コトバだけがあぶくのように
深海の闇に溢れ出す
ぼくは魚のようなキミがキライだ
てらてらと誘うひとみ ぱくぱくと呑込む口
あけるとビッシリと ノコギリみたいな鋭い歯
指先だけがミミズのように
孤独の闇を弄ぶ
川面の上の朝焼けに惹かれて
夜の方をふりさけみれば 月
もう高く 半分に欠け
上弦なのか 下弦なのか分からぬ位
垂直に掛かって 笑っている
川面と朝焼けと 半月が呼応して
笑っている
ぼくの霜焼けを笑っている
初恋の血の残骸を笑っている
励ましているのか
えぐっているのか
慰めているのか分からない
朝焼けの 色
ぼくの内出血を笑っているような
ぼくの解凍しそこねた初恋の標本を
アタタめ直してくれているような
それでいて無感情な半月をたづさへて
ぼくを上から笑っている 色
魚の匂いのする川面を挟んで
ぼくは朝焼けと半月とをにらみ返した
ぼくは魚はキライだ
魚のようなキミがキライだ
解凍しそこねたヘモグロビンに用はない
初恋はもうとっくの昔に
死んでしまったのだ
ぼくの唾液とエタノールの中で
ぼくの綴じ込めた つめたい瓶の中で
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