ハウプトハルモニーと僕との1年間 (Part1) | アイドルKSDDへの道(仮)

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心に茨を持つ山梨県民こと「やまなしくん」のブログ。基本UKロックが好きですが、最近はもっぱらオルタナティブなアイドルさん方を愛好しています。

【プロローグ】

女性アイドルグループ、Hauptharmonie(ハウプトハルモニー)と僕との出会いは、ささいなことであるにも関わらず、今でもよく憶えている。

初めて会った…というか、見かけたのは、2016年1月17日、ヴェィパーウェイヴ・アイドルグループと称されたEspeciaのワンマンライブを観に、新木場スタジオコーストへ出掛けた日だった。そのライブの帰り道の途中で、チラシを配っているのが、ハウプトハルモニーの3人だった。

「Hauptharmonie? なんて読むんだっけ…名前は見たことあるんだよなぁ…」と思った。で、僕はチラシを差し出されたら受け取ってもいいという心持ちだったのだが、歩きスマホをしていて、結局チラシを受けとることなくスルーしてしまった。彼女達の労をねぎらって受け取っておけばよかった…と思ったのは、その後の話である。

その前だったか後だったか憶えていないが、同じころに、僕はハウプトハルモニーの音源をタワーレコード新宿店で試聴した。『goldenbaum ep.』という3曲入りCDが、タワーレコード内レーベル「箱レコォズ」からリリースされていたのだ。





1曲目は、まるでフジ・ロック・フェスティバルの出演アーティストのような、フェス感あふれる陽気なスカ、2曲目はスウィングジャズ、3曲目はパンクロック。「うわあ、また面白いアイドルが出てきたなぁ…曲も超本格的じゃん!…」。確か店頭のPOPにも、苗場標準とか何とか書いてあった。そこで興味を惹かれた…のだけど、そこではそのCDを買わずに帰ってしまった。ただ、Hauptharmonieという読みにくい名前のアイドルグループの名前、そして聞き逃せないような楽曲を持っていることは、僕の頭の中に刻み込まれたのだった。


【2枚同時リリース、ミニアルバムの衝撃】

同年5月に、ハウプトハルモニーは2枚のミニアルバム『Abenddaemmerrung』『bleich』を同時リリースした。(タイトル読めねー 笑)たぶんtwitterで知ったのだろう。その試聴音源をYouTubeで聴いた僕は、衝撃を受けた…



「yearning」という曲にはハマった。元来ギターポップが好きな自分にとって、これは「人生で5本の指に入るベスト・オブ・ギターポップチューン」だと思った。しかも全部英語の歌詞。普通に聴いてアイドルの曲とは思えないだろう。猿のようにリピートして聴きまくった。

そして、もうひとつのリードトラック「Kidnapper Blues」やばい。カッコ良い。カッコ良すぎる。まるでエゴ・ラッピンや椎名林檎のようではないか…



さっそく、両方とも買った。

「超最高」「言うなれば、ひとりフジロック状態」「ライブ観たいよ!」

…5月30日に、僕はtwitterでこのように投稿している。興奮していた。その、恐るべき音楽的充実度に。近いうちに、その姿を直接観たい、聴きたい…その想いは募っていった。


【初めての現場】

初めての「現場」、すなわちアイドルのライブイベントを探して、その機会を思ったよりも早く得ることができた。2016年6月12日、渋谷のMilky Wayというヴェニューで「new encounters vol.6」というイベントを見つけた。ハウプトのほかにも、僕が興味のあった、アイドルラップの雄ライムベリーや革新的な音楽性を持つブクガことMaison book girlが出演するとのことだった。

ゆるめるモ!のファンである僕は、この日の夕方から渋谷O-WESTで催されるゆるめるモ!とBELLRING少女ハートのツーマンライブ企画「ベルめるモ!」へ行くことを、すでに決めていた。他にも観たいグループがいるし、これはちょうど良い機会!ということで、「現場を回す」べく、朝早く渋谷へ向かったのだった。

ハウプトハルモニーのメンバー達は、例の麻袋みたいな?衣装で登場した。あの「Kidnapper blues」も披露された…のだが、激しい。フロアが激しすぎる。ハウプトのオタクたちは、モッシュしたりツーステップを踏みまくったりで実に激しく、そのサグい熱気に新参の僕は面食らった。途中、モッシュしているオタクの肘が僕の腹に当たった。痛てえよ!けれど不快な感じがしなかったのは、やはり、演っているのが好きな音楽だからだった。

ちなみに、最初にステージに出てきたのは3人だった。「あれ?もっと多かったような…」と思っていたところ、途中で2人が入ってきた。後で分かったことによれば、その2人は遅刻したそうである。ライブ後、物販が始まる際に、チャラい格好をしたバンドマン風情のスタッフが、彼女達を集まったオタクに謝らせていた。ちなみに、そのスタッフがプロデューサーの「あーりーしゃん」ことO-ant氏であることを、後で知ることとなる。

チェキは、気になっていた黒髪ボブのきれいな女の子、ちがちゃんこと「茅ヶ崎りこ」と撮ってもらうことにした。どうやら僕は、黒髪ボブの女子を第一印象で好きになる傾向があるらしい。チェキでは、そこそこの時間、話すことができた。

「初めて観たんですけど…激しいっすね…」

「最近激しくなったのー。前はもっと違う感じだったけど。」

「そうなんだ…」

「好きなアイドルは誰ですか?」

「えっと、ゆるめるモ!が好きです…」

「私も!あのちゃんが好きなのー。」

「実は、この後ライブに行くんですよ…」

「えっ?ベルめるモ!?いいなぁー」

…こんな会話をしたことを憶えている。アイドルは、オタクが複数の「現場」で遊んでいることをよく知っていて、その実情を探る意味もあって、チェキ会で「他に好きなアイドル」を聞く…ということを、僕はこの時に知ったのだった。ちがちゃんが ゆるめるモ!のファンであることを知って、親近感を抱かざるを得なかった。

それはともかく、ライブは楽しかった。スカやレゲエの曲は、まるでフジロックのアヴァロン・フィールドで演奏されているようだ…と思った。これが、僕にとっての初めてのハウプトハルモニー現場、だった。


【2度目の現場と接触 ~アットジャム】


2度目のライブは、3ヶ月もの後、幕張メッセで催された巨大アイドルライブイベント「@JAM」だった。このイベントの2日目である9月25日は、僕が元々好きな でんぱ組.incがトリを務めるし、他にも観たいグループが複数出るので行くことを決めたのだが、ハウプトハルモニーが出演するというのは、自分にとって大きな動機の一つだった。なぜなら、7月にリリースされた2ndフルアルバム『Herz über Kopf』(読めねー! 笑)を、ずっと聴いていたからだ。

このアルバムには、ただただ感嘆させられた。その驚くべき多様性と楽曲水準の高さに、そして時に妖艶で、時に可愛いらしいメンバー達の歌唱に…。それは、一介の音楽好きである僕が、ついに見つけた最高のポップ・アルバムであるとさえ思えた。



そんなわけで、曲を聴きながら、ずっとライブを再び観たいと思っていたので、満を持して、ここでライブを観られる運びとなったのだった。

ハウプトハルモニーのステージは、2回あった。その時の様子は、既に書いた別のブログ





に詳しい。


「ハウプトハルモニー、曲めっちゃ好きなのに1回しかライブ観たことなかったから、今日2回観られて良かった。前回はオタクのモッシュに面食らったけど、今日は楽しく混じったよね。歌とダンスもしっかりしてたし、ちがちゃんじゅのちゃんとチェキも撮れて次に繋げることができた…」

と、僕は当日twitterに書いている。ライブではオタクのモッシュに混じって盛り上がりつつも、ステージパフォーマンスの良さを確認することができた。そしてチェキ会、とりわけリーダーの「寺田珠乃」との初めての接触は、忘れ得がたいものとなった。

この時点で、僕はハウプトのオタク、すなわち「レディース・アンド・ジェントルマン」になった…と、振り返って思う。このライブの後、仕事中にパソコンに向かいながらずっと、メンバーの「ちがちゃん」こと「茅ヶ崎りこ」のことを考えてしまい、いよいよ……ヤバいアイドルオタクになりつつある自分を感じていた

さて、そんなわけで、ハウプトのライブをもっと見たい、味わいたい…という考えは、完全に自分の頭の中に組み込まれた。機会があれば現場に行きたいと思い続けた。

しかし、そんな自分を…10月に衝撃的な展開が待ち受けているのだった。

(つづく)