コンプレックス、所謂劣等感なんてものは、生涯どうしたってついて回るもので、随分克服したつもりでいても、ひょんなことから顔を出し、いつまでも自分を苦しめる。
若いときには、周りと比べて容姿が劣るだの、スポーツや勉学が劣るだの、身長がとか体型がとかそんなありきたりのことに劣等感を感じたりする。
年を取ると今度は、周りと比べて年収がとか、容姿が衰えてきたとか、年取るそのこと自体にどんどん追い詰められたりとか。
無くならない。
いつまでも、何かに劣等感を抱いて、人生の興を削ぐ。
他人は自分のことなど何にも気になどしていない。それは重々分かった上で、どこからか劣等感が湧いてくる。
劣等感は厄介なもので、妬み嫉みなどあって何も得しない感情を連れてきたり、本来自信を持っていいことからも自信を奪ったり、碌な事がない。
これが、本人の頑張りで克服可能な劣等感ならむしろ成長を促す可能性もあるからいいのだけど、どう直しようもない生来のものであったり、チビやハゲなど本人の努力では如何ともし難いことで劣等感を持ってしまうと苦しい。
そしてそれがどうしようもなく強い劣等感であったなら、人生を台無しにしてしまう可能性もある。
年とともに風化するものもあれば、年とともに台頭してくるものもあり、悟りでも啓かない限り、一生付き合っていかなくてはならないものらしい。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240629/23/motty754/9e/59/j/o0320045215457453417.jpg?caw=800)
過去に起こった誘拐事件の犯人と被害者。
二人はしかし、世間が考えるような一般的な犯人と被害者ではなかった。
突飛な話で、およそこんなに繊細な犯人と被害者はいないだろうと、粗野な自分などは考えてしまう。
美しい?優しい?切ない?
どれもこの作品を表現するには相応しくない気がする。が、そのどれとも近い感覚があった。