すずめの戸締まり | 忘れるからね

ドアは開けたら閉める。今まで何度この注意を受けただろう。というか、今だに言われ続けている。

言われたときに初めて閉めてなかったことに気づく。

開けることが重要で、開けるときには次に向かう先のことを考えているので、閉めることを忘れる。齢50前にしてなんと駄目なことだ。

ドアは閉まっているのが正常。

人間の過去や未来も扉やドアに例えられたりするが、僕の場合、基本的に開きっぱなしが正常らしく過去からは、後悔や取り返しのつかない罪の意識とかが自由にタイミングも考えず出入りするし、未来からは不安とか楽になりたいのか都合の良すぎる展望とか、碌な物が入ってこない。そのせいでどれだけの現在、今、を失ってきただろう。好きなときに開閉出来ればいいのだけど、現実のドアの開け閉めですら、未だにしっかり出来ないのだから、視えぬドアの開閉などできるわけがない。閉じ込めておきたい過去ばかり、考えたくない未来ばかり、それらに挟まれた現在は、言わずもがな曇天。

どうせなら、楽しい思い出、希望に満ちた展望なんかが出入りしてくれれば現在も晴れるだろうに。




「すずめの戸締まり」 2022年 日本
監督 新海誠
アニメは日本が世界と渡り合える数少ないエンタメのひとつで、本作の監督は、そのアニメ界の巨匠という認識だけど合ってるのかどうだかは分からない。
画がキレイで、登場人物がみなひたむき。
話は子どもには難しいんじゃないかと思ったが、今の感覚を持たないオジサンだからそんなこと思うんだろうか。
今を強く生きるために、過去と未来から力をもらう。理想的やん。