“今池ハードコアは死なず” 『JUST ANOTHER』名古屋・今池先行上映REPORT | C2[シーツー]BLOG

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川本 朗(カワモト アキラ)▶名古屋発、シネマ・クロス・メディア
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 今年2020年で結成38年を迎える日本を代表するパンクバンド《the原爆オナニーズ》。キャリア初となるドキュメンタリー映画を、2017年にレーベルLess Than TVに肉薄したドキュメンタリー映画『MOTHER FUCKER』で映画監督デビューを果たした大石規湖監督が完成させ2020年10月24日(土)より新宿K’s cinemaほかにて劇場公開!この度、映画のメインビジュアルが完成し、本作のご当地である今池の名古屋シネマテークでの先行上映が2020年9月18(金)に開催されることが決定!今回、大石規湖監督自身の編集による待望の予告編が完成!“今池祭り“の映像から始まり、トヨロック、消毒GIGと疾走する映像は、密になりたい!ライブハウスに行きたいと思わせる事、間違いナシ!

 

 

 今回、9月18日(金)に、映画『JUST ANOTHER』の公開を記念して《the原爆オナニーズ》の本拠地でもあり、本作でも大きくフィーチャーされている“今池祭り”の開催地にある名古屋シネマテークでどこよりも早い先行上映が行われ、上映後に《the原爆オナニーズ》と大石規湖監督が舞台挨拶に登壇!

 

 

 “今池ハードコアは死なず” 名古屋・今池先行上映REPORT

 

 

 

 あいにくの曇天模様となった名古屋市千種区今池。日本でも指折りのthe原爆オナニーズと同じ38年の歴史を持つミニシアター名古屋シネマテークには平日にもかかわらず朝から長蛇の列が出来ました。並ぶ人々のお目当ては、今夜20時より上映される地元が誇るパンクバンド《the原爆オナニーズ》キャリア初となるドキュメンタリー映画『JUST ANOTHER』の舞台挨拶付き世界最速上映のチケットです。ただでさえ小さな映画館なのに、コロナ禍の感染予防対策として減席での販売となるため、さながらプレミアムチケットとなってしまったのです。中には仕事を休んで来た人、他県からGO TOした人もいて、チケットは午前中で完売となりました。本来であれば、例年この時期には街を上げての“今池祭り”が開催され、一年の中で一番の盛り上がりとなるはずですが、今年は中止。ならば“今池祭り”をフィーチャーしたこの映画で盛り上がろうと商店街のいたるところに映画のポスターに“今池ハードコアは死なず”の言葉を加えたオリジナルポスターが貼り巡らされています。

 



  昼間は朝の行列が嘘のように静かになった今池には雨も降り、時折り劇場に訪れてはチケットの完売を知り去っていく人の姿がありました。日が暮れ始め、街に夜の帳が下りるころ、まだ上映まで1時間以上の時間があるにもかかわらず、まるで祭りの始まりを待つ様にどこからともなく人々が集まり始め名古屋シネマテークの周りは次第に活気に満ちてきました。

 そして雨もやんだ20時前プレミアムチケットを手にした人々は番号を呼ばれ劇場の中へと誘われていきました。開映のブザーが鳴り上映開始。暗闇の中、90分の間スクリーンに映し出された《the原爆オナニーズ》は観客の皆様にどのように映ったのでしょうか?エンドクレジットが終わると場内からは大きな拍手が起きました。

  明るくなった劇場に司会者が入り舞台挨拶の開始、監督、the原爆オナニーズのTAYLOW、EDDIE、JOHNNY、SHINOBUの順で呼ばれると再び大きな拍手が起きました。まずはそれぞれの挨拶があったあと、監督が「今池祭りがあっての映画なのでコロナ禍で今年の祭りが中止になって本当に残念です。本当は今池祭りに参加してからこの映画を観るという流れにして頂きたかったので来年の祭りが楽しみです。」と語り、TAYLOWが「大石監督から最初に話しをもらった時には最後までやり遂げられるかな。と思ったけど良くぞ完成させた!」と監督をねぎらうとEDDIEからも「良い感じにまとめてくれてありがとう。」の言葉が、また予告編の中で波乱万丈のないバンドと語っていたJOHNNYからは「監督が良いと思ってくれればなんでもご自由に撮ってくださいと思っていたけど。完成した映画を観てこう来たかと思いました。」との話しがあり、SHINOBUからは「自分自身を観るのが恥ずかしい。」と照れくさそうに話し、場内は笑いに包まれました。また大石監督は「最後までメンバーの誰も本当に映画になると信じてくれていなかったことが一番やり辛かった。』との恨み節もここぞとばかりに出てきてしまいました。映画の中心が次第にSHINOBUにシフトしていくことについては「一番年齢的にも立場的にも自分に近いSHINOBUさんの視点を通すことでバンドを上手く伝えられるのではないかと思いました。」と監督が話すとSHINOBUからは「監督と一番親しいのは僕です!」との宣言が。また今年中止になった今池祭りについては「唯一の豊田市民である自分はお邪魔している感じですが、子どものダイブを大人が支えたり、誰もが楽しめる他に類をみないイベントだと思います。」とTAYLOWが話すと大石監督からは「海外のヴェニューの雰囲気の様な分け隔てが無い老若男女が楽しめる日本では特異なイベントだけど今池では音楽が生活にあること感じる輝かしいイベントだと思います。」と、TAYLOWからも「日常の中に音楽があることが感じられるんです。」との話しがありました。舞台挨拶中には暖かい野次も飛ぶ終始和やかな雰囲気となりました。最後に監督からは「映画をご覧頂いて気に入っても、気に入らなくても、どんな言葉でも良いのでSNS等でリアクションが欲しいです!」とのメッセージがあり、TAYLOWからは「一人10回は観て下さい!」のリクエストがありました。そしてJOHNNYからは「来年の今池祭りまで上映が続くように何度も劇場に来て下さい。」との言葉がありました。舞台挨拶は大きな拍手で終了し、10/24(土)~の新宿K’s cinema、10/31(土)~名古屋シネマテークでのロードショーに大きな弾みとなる先行上映となりました。

 

 

『JUST ANOTHER』
2020年10月24日(土)より新宿K’s cinemaほかにてロードショー!以降、全国順次公開!
名古屋は名古屋シネマテークで2020年10月31日(土)より上映

公式サイト

 

DATA

出演:the原爆オナニーズ <TAYLOW、EDDIE、JOHNNY、SHINOBU>、JOJO広重、DJ ISHIKAWA、森田裕、黒崎栄介、リンコ 他
ライブ出演:eastern youth、GAUZE、GASOLINE、Killerpass、THE GUAYS、横山健
企画・制作・撮影・編集・監督:大石規湖

スチール:菊池茂夫
1.78:1|カラー|ステレオ|90分|2020年|日本|配給:SPACE SHOWER FILMS

 


▲DJ ISHIKAWA

▲JOJO広重

▲The原爆オナニーズ <TAYLOW>

▲The原爆オナニーズ <EDDIE

▲The原爆オナニーズ <JOHNNY

▲The原爆オナニーズ <SHINOBU

▲森田裕

大石規湖 監督

 

 キャリア初となるドキュメンタリー映画『JUST ANOTHER』では、これまで語られる事のなかったバンド内部の真実が本人たちによって遂に明かされる。

 

    

 映像作家、大石規湖(のりこ)は地下レーベルLess Than TV主宰の谷ぐち順、YUARI、共鳴の家族とその仲間たちに密着したドキュメンタリー映画『MOTHER FUCKER』(2017年)で映画監督デビューを果たし、次回作の構想を練っていた。2018年9月名古屋の“今池まつり”で老若男女を熱狂させている地元が誇るパンクバンド“the原爆オナニーズ”のライブを目撃する。その衝撃は彼女に彼らの活動を記録することを即座に決断させた。彼女が興味を持ったの単純ないくつかの疑問だった。なぜこのバンドは愛知県を拠点にし続けているのか。なぜバンドに専念しないで仕事をしているのか。なぜ60歳を過ぎて今なお激しいパンクロックに拘っているのか。それだけだった。日頃から若いバンドが活動と生計の両立に苦しむ姿を目の当たりにしているからこそ、どうしても知りたい興味が湧いたのだ。しかし密着を始めると次第に浮き彫りになってきたのは、メンバー同士では決して口に出さない互いへの揺るぎない信頼、バンドと言う奇跡のバランス、そこにしか存在しない唯一無二の正義…。バンドの内部でしか知る由も無い事実が次々に浮かび上がって来た。そして、なぜ彼らが40年にわたりパンクロックを続けられるのか、その理由が少しだけ分かってくるのだった。このドキュメンタリーは全てのバンドマンに活動し続けるヒントを圧倒的なパワーで届けるだけでなく、未曾有のコロナ禍の中で日常を奪い去られても生きていかなくてはならない我々に、それでもやり続ける力を与えてくれるに違いない。

 

(C)2020 SPACE SHOWER FILMS