臨時休館も、すでに3週間ほど。慣れというのは不思議なもので、上映しない状態が当たり前になりつつあります。昨日もテストでスクリーンにうつる映画を、やや新鮮に感じてしまいました。危険な兆候ですね。
これまでにない長期の臨時休館が始まる時、長い中断のあと、映画館で映画を観ることが忘れられてしまうのではないかなと強く危惧していました。それは、自宅で過ごすのが普通の習慣になってしまうことへの不安でした。
実際に、DVDやBDだったり、ネット配信だったりで映画を楽しんだりして、その状態にこれまで以上に慣れていく毎日です。便利ですよね、やはり。先日、初めて「ZOOM飲み会」をしましたが、帰り道の心配をせずに呑めるという幸せを満喫しました。快適です。ただ同時に、妙なストレスを感じたりもしました。居酒屋の喧噪から離れる、一抹の寂しさ。無意識に代用と感じてしまうこと。そんなストレスなのかなと思いました。自宅で映画を見ている時にも、そんな気分になることがあります。もちろん、それぞれは別の楽しみで、お互いが代用しあうものでもないわけですが。CDを聴くのとライヴを楽しむのが、別の悦びであるように。
この数週間、そんな気分が行ったり来たりする一方で、劇場再開を期待する励ましの声に、強く支えられてきました。これほど大規模で直接的な応援をいただけるとは、正直なところ予想していませんでした。多様なメディアを使い分けながら、映画を楽しむことを、ファンの皆様はとっくに体得済みなのかもしれませんね。実際にご支援もいただいて、映画館は、以前以上にファンの皆様のもの、大袈裟にいえば社会のものであることが明確になったと思っています。再開後は、これまで通りにより良い作品をお届けすると同時に、期待される映画館のありようを探すこともまた、重要な仕事になっていきそうです。