あのすごいけれど すごくない人

ああ　何度読んでも好きだ　この記事。

友人の森岡あゆみさんが　ドラマ「逃げ恥」にドはまりしている時に書いてくれた

どんな人にも　人と比べて　できないことや不得意なことってある
いろんな事情を抱えているし、悩んでいたり　しんどいことだっていっぱいある。

だからいろんな人の助けや　配慮が必要なのだけど

こんなに攻撃的だったら　あげられるものも　あげられなくなる。
だって、こちらだって　形の違う事情を抱えているし、悩んでいたり　しんどいことがあるから。




逆の立場で

私自身が　社会的弱者の立場になったとき　
（今　バリバリそんな状況に置かれているのだけど）

とっても親切だし　とってもやさしくされているのだけど
「かわいそうだから」やってくれていることになんとなく気づくことがある。


病気を抱えながらも　外出しただけでめっちゃ褒められる
（病気じゃなくてもこの猛暑じゃ体調くずす人は続出だし　
気持ちがしんどくても出かけなきゃいけない人は同じくらい多くいる）

仕事を再開したのも　治療の副作用から気を紛らわせるためだし
妊娠中つわりがひどいときも　仕事がある日のほうが楽だった。
しんどいのは同じなのに　白血病とつわりは　どうやら同列に並べてはいけないらしい。

つわりじゃ　「こんな状況でも　くじけない」感動にはならないからかしら？


ほめていただけるのもありがたいのだけど
「『苦難×感動』＝かわいそうだから」のGIVEは　感動ポルノという攻撃として届いていたりするのですよ。




まあ、白血病を発病しても　症状の出方は十人十色だし　
同じ症状が出ていても　苦痛の感じ方も　折れ方も　傷つき方も　復活の仕方も　人それぞれ。

白血病の人と　たまたま知り合ったけれど　どこから手に入れたのか　骨髄検査用の注射針を（もちろん刺さらないように　先を丸く削ってあったけれど）持ち歩いていた。

医療者側は骨髄検査なんてわが身に降りかかったことがある人は皆無だし
こんなに太い針を刺されるのだということを　
もっと患者の気持ちになってほしいと　医療者に啓蒙したいのだそうだ。



確かに、私も数か月に1度の骨髄検査は気が重い検査の筆頭ではあるけれども。
数時間かかるし、すっごい違和感で鳥肌立ちまくるし、いやーな感じを味わうけども。
器具を見たら　すっごい太い針でドン引きレベルっちゃ　そうだけども。
麻酔するから　痛くない（実はこの麻酔の注射が一番痛いくらい）よねえ・・・。

と　ちょっと腰が引けた。
骨髄検査って人手がいるので　患者をまとめて端から順にやっていくことが多い。
それが流れ作業だとか　心がないとか言いたくなる気持ちはわかるけれども
悪いけどこの啓蒙活動には　ちょっとお手伝いできないなあ・・



そうは言いつつ

抗がん剤の副作用で　頭痛が強く出て吐きまくっていたら　旦那が会社を早退して病院に連れて行ってくれたことがありまして。

病院の救急受付で座って順番を待っていたら　「こっちは風が来るから」と旦那が横に座ってきて　風よけになってくれました

気が利かない大王の旦那さまに　そんなことしてもらったのなんて初めてで
なんか涙がちょちょぎれるくらい感動してしまって。

「あー・・これはクセになるなあー・・・」と　痛みでぼんやりしながら思ったなあ。



どうにもならないときに体験できた甘い経験が　またほしくなる

何もできなかったけれど
困難な状況でも　目の光を失わなかったからこそ　差し出された敬意なのに

何もできなかったから　もらうことができたのだと勘違いしそうになる





私はできないことも　わからないことも　
どうしようもないところもたくさんあるけれど　弱者ではなく勇気ある人であり
すごくないけれど　すごい人で

あのすごい人も　ただの勇気ある人なだけで　
できないことも　わからないことも
どうしようもないところもたくさんある
そんな　すごいけれど　すごくない人。


私たちは　誰もが　すごくないけど　すごい人で
すごいけれど　ちっともすごくないのですよ。

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