「マラソン自己ベストを更新したい」では、今週から効率的な走り方にテーマを移しました。

 昨日までは準備段階だったかもしれません。


 自己ベストを更新するのに、今までよりラン距離を延ばすと考える方もいらっしゃいますが、どうやって走る時間を作るか?



効率良い走り方ってなんでしょうか?

 ランニングエコノミーという言葉を聞いたことがあるかと思います。今回のテーマはまさに、ランニングエコノミーが高い走り方を意味しています。

 でも、ランニングエコノミーという言葉が具体的にどんな走り方なのか?はあまり語られていませんよね。



 皆さんは「ランニングエコノミーを高める」と聞いた時、どんなことを考えられるでしょか?



 僕は「より少ないエネルギーで走る」というイメージを持っています。



 少し走り出す頃の僕の話を挟ませて下さい。

 僕は走り始めるまで、長く運動していませんでしたから、筋肉量が非常に少なかったんです。

 ですから、走り出す時に「ランニングエコノミー」という言葉を目にして、スゴく気になりました。そして、走る時にどうしたら良いのか?を随分考えました。

 走るようになる前から「ランスマ」を観ていて、金さんが「真下に着地する」「身体を前に倒すと自然に足が前に出る」と話すことを聞いて、なるほどと考えていました。

 色々な本を読む中で辿り着いたのが「上下動が少ない」フォームでした。考えるのは自由ですが、どうすれば良いのか?は分かっていませんでした。ただ、「上に弾まない形が良いかな?」「できるだけ前に弾めたら良いなぁ」と考えていました。



 僕には膝下を強く蹴り出して、踵がお尻に着きそうになる走り方ほできないと思っていましたから、金さんの言うような走り方ならできるかも、と思いました。

 ですから、金さんの言う通りに走ってみようと始めました。今、振り返ってみますと、この金さんが話された「真下に着地する」「身体を前に倒すと自然に足が前に出る」というのは、ランニングエコノミーが高い走り方みたいですね。


 僕は今もこの金さんの言葉が走り方の根底にあります。

 僕なりの理解で、この金さんの言葉をもう少し詳しく書いて行きます。



身体の真下に着地する意味

 身体の真下に着くとは、どこに着くことでしょうか?


 身体より前に着地する場合、踵から着地します。

 こんな感じですね。この走り方は足の速い子供さんに多く見られます。体重が軽い子供なら、膝への軽いですが、身体が成長しますと、着地の衝撃で膝を痛める方が多くなります。特に距離が長いフルマラソンは膝へのダメージが大きくなります。



 もう少し、理論的に補強します。

 上の図では着地の衝撃を膝が吸収します。ここで注目してほしいのが膝の角度で、上肢と下肢がまっすぐに近いんですね。ここでスピードを上げる時、上肢と下肢がまっすぐになります。

 この時、どこで着地の衝撃を吸収するでしょうか?


 吸収は関節を曲げることで行われますが、膝関節はまっすぐなので、曲げられないんです。このため、膝そのもので吸収してしまうので、半月板や軟骨がダメージを受けます。更に、上下の骨がぶつかれば変形を起こしていきます。

 物理的には膝を曲げながら、身体の後ろに足を送って行きますが、膝下を前に振り出しながら着地します。つまり、膝を伸ばそうとした状態で着地していることが問題なのです。

 なお、レース中の写真は色々お持ちと思いますが、膝が伸びた状態は非常に短い時間です。ですから、そんな写真はないから大丈夫と思うのは危険だと思います。


(スゴい写真なので、弟子からもらいました。膝が伸びていますから、膝が痛くて、大会前はヒアルロン酸注射を受け、痛み止めを飲んで、レース後は膝が痛くて走れなかったとのこと)


 ですから、僕が走り方を見させて頂く時は、初めに次に紹介します「身体の真下に着地する」形に切り替えてもらっています。


 こちらが真下に着地した状態です。

 1番の違いは膝下ですよね。膝下を前には振り出しません。振る動作がなくて、真下に足を動かして、早めに足を接地させます。
 膝下を振り出しませんから、膝が痛むことはありません。それに、膝がしっかり曲がっていますから、着地の衝撃を膝を曲げることで吸収できます。




僕でも膝が痛む時があります
 僕はこうして膝が痛むメカニズムを知って、こうすれば痛まないと分かっていても、時に膝が痛む時があります。
 そんな時は、改めて、早めに着地させる足の動かし方、膝下を前に振り出さない足の動かし方を確認します。
 こうした時、走るスピードが速いと実行しにくいので、ゆっくり走りながら、動きを確認します。

(踵が入っていませんが、僕は膝下を前に振らない走り方です)