今週から「フルマラソンのタイムを伸ばすなら」をアップデートしました。2024年秋に向けた内容として、書き始めました。

 秋に向けたお勧めメニューは「月に1回か2回、3時間ジョグ」を加えませんか?というものです。

 前日はゆっくり走る意味について書かせて頂き、「走るスピード、コース、シューズ、時間帯などを変化させる」ことが大切と書きました。それは同じことを繰り返しますと、刺激が弱くなるからで、例えば、平日は時間が走る時間がしっかり取れず、短い距離、同じコースとなったとしても、週末に長いジョグと組合せることで、刺激を増やせるという話を書きました。


 走るスピードを変える理由、1つ大切なことを書き漏らしていました。


 それは「故障に対する感度を高める」効果です。

 今日は走るコースについて書くつもりでしたが、この話を書かない訳には行きません!今年は3時間ジョグの持つ「故障しにくい」側面をきちんと伝えたいです。



疲労が溜まっていると痛みに対する感度が鈍くなる?

 僕はもう56歳ですから、良い練習を積み、良いレースに繋げるには疲れをしっかり抜いて痛みや不安がない状態を作ることが何よりも大切です。

 ところが、「痛みがない」は「疲れていない」「しっかり走れる」とはどうやら違うみたいです。よく考えればそうなんですが、思う以上に気づきにくいですよね。だって、痛みなく走れちゃうのですもん。



 もう10年も前の話です。

 僕は仙骨の疲労骨折をキッカケに練習の軸を全力走からゆっくり走る疲労抜きジョグへと大きく切り替えました。そして、フルマラソンは13ケ月を空けて復帰という長いリハビリ期間がありました。

 疲労骨折前は全力走だけで毎月300km近くを走るようになっていました。今、振り返りますと、コリがヒドい状態でパフォーマンスが低下していたと思います。股関節の付け根に強い違和感がありました。

 でも、その頃は走る前に、◯分ペースで△kmを走ると決めていました。いつも同じコースを同じペースで走ることが多かったです。

 ですから、コリがあるとか、疲れが溜まっているとかを考えることなく、走っていました。仮に身体が重くても、前回も同じだったなぁと思ったり、5kmも走れば身体が動くようになだろうと思う時も多く、そのまま走っていました。


 本当は身体が「疲れてる」「こリがあって動きが悪い」とサインを出しているのに、それを無視しているんですよね。ですから、意識していないので、疲れが蓄積されているのに、痛みやコリに対する感度が低くなっていたようです。



 僕は疲労骨折の後、長いリハビリ期間にゆっくり走り、疲れが抜けて、コリもなくなりました。その後疲労抜きジョグでゆっくり走っていました。その結果、痛みを感じたり、調子の良さを感じられる身体に変わって行ったようです。

 勿論、疲労骨折という大事故に遭ったので、再発させたくないという思いもあったと思います。



痛みに対する感度を高めることって大切です!

 何故、ゆっくり走ると痛みやコリが分かるのでしょうか?

 普通に考えると、速いスピードで走った方が変化に気づきそうですよね。

 それは、走る速さを変えることが感度を上げることに繋がります。


 ゆっくり走る時と速く走る時では、フォームの大きさが変わります。筋肉に掛かる負荷が変わり、関節の可動範囲が変わります。


 同じ速さで走るというのは、本に折り目を付けるようなものです。学校の教科書って折り目を付けないと、すぐに閉じちゃうじゃないですか。毎回の授業でギューギュー押してると、本を開けた時、勝手に同じページが開きますよね。そのページは開きますが、他のページを開けてもピローンと1枚だけがめくれそうになったりします。

 同じペースで走るほど、この折り目が強くなります。


 スピードを変えると開けるページが違うので、落ち着かないですよね。この落ち着かない状態が、違和感や痛み、あるいはコリを感じやすくします。



ゆっくり走ることで見つかること

 昨日の僕は東京マラソン以降、左足の鼠径部、腰周り、殿部の膝側付け根のコリが改善しないので、普段より更に遅いスピードで走りました。リズムを変えずに、歩幅を短くするのですが、すると、先週から感じていた違和感や動きの悪さとは違いがありました。

 1つは左足の(中殿筋の下に隠れた)小殿筋部分、もう1つは右足の(体側の)小殿筋部分でした。

 まさに動かす範囲が普段より狹くなったこと、大きな痛みが消えたことで以前は隠れていた痛みが出てきました。


 特に速く走ると、気持ちが走ることに集中するのに対して、ゆっくり走りますと、気が楽になることも多いので、普段は見過ごすことにも気付くことが増えます。



(2020年初めの僕は完全に身体が立っていました)
(東京マラソン2024のこちらは正面に近い写真ですが、胸を強く張った姿勢ではなくなっています。これも日々、ゆっくり走る中で、フォームを見直してきたから)