このフォアフット着地はアフリカの荒れた大地で育まれたものだと思います。
それでも、この走り方は身体の構造上、故障しにくいと思います。
その理由は着地の衝撃を膝と足首で受けられるからです。基本的に関節は曲げる動作で衝撃を吸収できます。膝を痛める方は膝関節が伸びた(膝下を前に振り出した)状態で着地するので、膝関節が曲がらないのです。これは2つの木を蝶番で繋いで、少し曲げた状態と伸ばした状態で上下から押すと分かります。
また、試して頂くと分かりますが、走る時に膝を伸ばしてフォアフットで着地するのは至難の技です。意外にもフォアフットは膝の痛みを解決する最善の道かもしれません。
■フォアフットが解決してくれる課題は他にもありますね
普段から練習会で色々な方のランニングフォームを拝見しますし、スロージョギングをしながら、より幅広い方のランニングフォームを拝見しています。
そうしている中で、あることに気づいています。
1つは「上半身と下半身の連動性」です。もう1つは「身体の前後の筋肉の使い方」です。
拝見していますと、速く走られる方の多くは「上半身と下半身の連動性」があると思います。
この連動性が少ない方に見られる傾向は、前日に紹介しました筋肉①〜④の中で、④背筋が使われないことになります。同時に②殿筋のうち中殿筋や小殿筋も動かない方が多くなります。そして、連動性のある方は身体をツイストできている方です。
もう1つの点は横からフォームを拝見しますと、上体の姿勢がお一人ずつ随分違います。身体の前側の筋肉③大腿四頭筋を使う方も、身体の後ろ側の筋肉②殿筋と④背筋を使う方がいらっしゃいます。
身体の前側の筋肉を使う方は上体が立った姿勢の方が多いです。そして、着地が身体の前に離れた位置となります。これに対して、身体の後ろ側の筋肉を使う方は前傾姿勢の方が多いです。皆さんの着地が身体に近い位置となります。
勿論、身体の前後の筋肉は連動させて使いますから、どちらかだけでは走れません。身体の前の筋肉を使う形では、④背筋を使いにくいようです。
結果的に身体の上下の連動性とも繋がっているかもしれません。
この身体の前の筋肉を多く使う方は踵着地の方に多いのです。逆に、前傾姿勢で身体の後ろの筋肉を使う方はフォアフットの方が多くなります。身体の後ろ側の筋肉の方が数が多いので、痛みの出にくくなります。
整理しますと、フォアフット着地の場合、こんな違いがあります
①ツイストして走るランニングフォームになりやすい
②身体の上下を連動して動かしやすい
③前傾姿勢となって、より多くの筋肉を使えます
■フォアフットに挑戦しますか?
着地を替える時、速いスピードから取組むのは困難です。
ゆっくり走る処から取組むのがお勧めです。
こうなった時に、スロージョギングが登場する訳ですが、今までは「ゆっくり走る」ことがテーマで、「痛みの出ない走り方」を説明してこなかったので、今一度、少し書かせて頂こうと思います。