この週末は本番2回目の2週間前、3週間前という方が多かったと思います。内容についての分析は必要かと思いますが、ここまで何度も書いていますので、今回は少し話を替えたいと思います。

 「フルマラソンのタイムを伸ばすなら」という連載をしている裏側には、僕自身が2019年12月から自己ベストを更新できていない、是非自己ベストを更新したい気持ちがあります。

 土曜は神田明神にも足を運んで、勝負に対する気持ちを確認してきました。勿論、結果は後から着いてくるものです。ですから、自分自身の持てる力を発揮することが大切です。特に、気持ちは熱く、頭はクール!これが持てる力を発揮する時のキーワードです。しっかり覚えてほしいと思います。


 特に、フルマラソンの本番レースで「全力を出す」「良い結果」など、皆さんベストを尽くしたいと感じていらっしゃるかと思います。

 今日はベストを尽くす上で大切なのかもなぁと思う話を書いていきたいと思います。



本番で力を出す上で大切な工夫

 昔の話ですが、テレビ番組を観ていた時に気になったのは、落合博満さんが「遅い球を打つ」という話でした。走るより随分前の話で、当時は何故遅い球なのか?よく分かりませんでした。


 数年前に気付いたのが、大谷翔平選手がボールを壁に向かって投げますが、ボールの重さがまちまちという話でした。

 この時は走るようになってから時間が経っていて、スゴく納得できました。


 野球で使うボールは決まった大きさ・重さですよね。

 手と頭がボールの重さを分かっているので、投げる時に同じ位置に投げられます。ところが、ボールの重さがばらついていたら、握った処からリリースするまでに、認識して同じフォームで調整して投げることが求められますよね。

 このばらつきが刺激になり、様々な変化への対応力を増させると思います。


 この対応力は心の余裕に関するものです。

 レースでは様々な場面があります。給水で集団に遅れたり、強い向かい風に出会ったり、シューズに当たる箇所があったり。そんな場面でも気持ちを入れて、前に進むのに必要なのは対応力です。あ〜ダメだと負けてしまうのを跳ね返すには心の余裕が必要です。



 話をボールに戻します。

 プロ野球選手は様々なボールを投げる上で同じフォームで投げる練習をされますが、より速いボールを投げるには刺激が必要なんですよね。大谷翔平選手のボールの重さは1つの例だと思います。

 そして、走ることで言えば、速く走ったり、ゆっくり走ることが刺激になります。



 これは集中力にも同じことが言えます。

 リラックスと緊張が大切ですよね。

 速く走る時に集中して、ゆっくり走るときにリラックスです。緊張した時にできることと、リラックスした時にできることは違います。

 例えば、リラックスした時にできないことが、緊張した時にできる筈がありません。リラックスして走る時に、ランニングフォームや身体の動かし方を確認します。緊張して走る時は心肺を鍛えることと、余裕を確認します。そして、ランニングフォームは答え合わせみたいなものです。

 速く走る時も全力で走る必要はありません。逆に全力では自分を制御して走れません。集団の後ろから全力で着いていくのではなく、余裕を持って走ることが大切です。

 ですから、後半に全力にペースアップしようと書いたんです。大切なことはこのペースアップなんです。



 と考えた時、落合博満さんの「遅い球を打つ」の意味に気付く訳です!

 インパクトの瞬間を極めるにはゆっくりの球です。スイングを磨いていきます。そして、速い球は確認です。

 僕は常々マラソンの話を書いていますが、実は他のスポーツにも通じる話という点がポイントです。


 できれば、ここからの本番までの時間はゆっくり走りながら、是非とも丁寧にランニングフォームを確認して下さいね!



多角的な目線はもっと大切かもしれません

 昔の僕は別大に参加した時、周りのランナーさんに合わせて、後ろに着いていました。でも、気付いた、集団は2つに分かれて、後ろの集団の後ろに着いていたんです。

 ところが、振り返りますと、前半は集団の前に出ちゃうことも多かったのです。前半に無駄な力を使い、後半に余力を失っていました。更に、前半のペースをもう少し遅くして良かった筈です。

 その瞬間、瞬間を考えてしまう時が多いですが、実際はもっと高い視点から、自分のレースを俯瞰して見るべきです。


 この俯瞰した目を持つには、全力に近いけど、ほんの少しだけ余裕を持った速さが大切です。


(別大2023から。前半はエンジンが掛からず、集団の後ろにしました)
(同じく別大2023の25km過ぎ。この手前で一旦集団の前に出てペースを上げた後、少し位置を下げた処です。)

(神田明神で!大黒様〜!今年の別大はヨロシクお願いしまーす)