「フルマラソンのタイムを伸ばすなら」というテーマで書いていますが、縄跳びを取り入れた練習として、第1段階、第2段階、そして、第3段階を書かせて頂いています。

 

 練習方法その①として「弾むジョグ」の速さを遅くしていくというアプローチで練習方法を紹介させて頂きました。実は友人の練習方法を拝見していますと、この考え方でタイムを伸ばす方は結構多くいらっしゃいます。

 練習方法その②はより遅いスピードを活かすので、その前にゆっくり走る意味として、前々回は神宮24時間の内容、前回は新しい練習方法に取組む難しさについて書いて来ました。

 今回は練習方法その②について、詳しく書いていきます。

 

 

■練習方法その②

 「弾むジョグ」で走れる速さを遅くできる方は、「弾み」を感じて、鍛えながらも疲れにくい走りができることになります。

 変な言い方ですが、どんなスピードでも大会に繋がる練習になるので無敵なんですよね。

 

 ここは僕を例に挙げますが、今年の僕は5:40/km程度で「弾むジョグ」を練習してきた結果、疲労が蓄積しました。蓄積を溜めない!と思いますと、「弾むジョグ」と「スロージョギング」を一緒にはできなくて、こんな2つに分けることになります。

・「弾むジョグ」から「弾み」をなくす

 →6:15〜6:30/km位のスロージョギングに

・「弾むジョグ」

 →今まで通りの5:40/km位の弾むジョグに

 

 「弾むジョグ」のスピードを落とせれば、「スロージョギングでもペース走と同じフォームが実現できる」となりますから、練習効果がレースで出しやすくなります。

 だだし、スロージョギングは蹴りませんから、筋力アップにはならないです。僕は6:30/km位でも「弾むジョグ」はできますが、長い時間を疲れずに継続できるか?と聞かれますと、無理があります。

 ですので、無理に蹴るのではなく、スロージョギングは蹴らない形として、書かせて頂きました。

 

 ここで「弾むジョグ」のスピードを落とす意味になるのですが、大きく2つあると思っています。1つは同じ速さで走ると身体が刺激に馴れてしまうこと、もう1つは後半に粘れることです。

 まず、「身体の馴れ」について書きます。

 昨年の僕はコロナ感染の影響を受けて、しっかりした練習をなかなかこなせずに、3:40/kmでの30km走を行っていました。スタート前に10kmジョグ、シューズもVaporfly NEXT%2でした。走る間の僕の気持ちは「ここで頑張れば最後まで行ける」だったり、「コース上で気をつければ良い箇所が分かる状態」だったりします。レースにはない気持ちですよね。

 レースでは周りのペースが変化する訳です。強い刺激を受けながら走るのですから、練習で馴れた状態ではダメなんですよ。僕は元々、練習毎にシューズを替え、コースを替えて取組むようにしていたんですが、昨年は自分が順調ではなくて、まったく余裕がありませんでした。

 なので、本当は走るスピードを色々変化させるべきなんです。

 

 もう1つは「後半の粘り」ですが、レース後半に足が動かなくなった時、ペースが落ちますよね。この時、走ったことのないペースで走ることって悩みませんか?

 僕はレースが近づくと、どんな時でも走れる、最低でも走れるスピードを確認することが多いです。

 でも、多くの方は練習で走らないペースになったら、もうダメだと諦める方も多いのではないか?と思います。最低のスピードが分かっているから、この速さなら粘れると思えるんですよね。様々なスピードで走っているから言える言葉だと思います。

 

 

■練習方法その②に基づく練習方法

 こちらは全体像を先に紹介させて頂いていました。

(日曜)30kmペース走(弾む感覚)

(月曜)スロージョギング

(火曜)スロージョギング

(水曜)スロージョギング

(木曜)弾むジョグ

(金曜)弾むジョグ

(土曜)弾むジョグorスロージョギング

 

 日曜の30kmペース走は1人でも良いですし、練習会でも良いと思います。ただし、毎回同じコース、同じシューズ、同じペースで行うことはあまりお勧めしません。

 この工夫については、改めて書いてみたいと思いますが、やはり強い練習も繰り返せば馴れてしまうので、馴れを生み出さない取り組みが大切だと思います。

 

 日曜はみっちり練習したら、月曜から水曜までの3日間はスロージョギングです。僕の場合、この3日間で30kmの2倍60kmをスロージョギングで走ります。この時は6:30/km前後のペースで走りますが、その理由が2つあります。以前から何度か紹介していますが、1つは血流を使って疲労物質を取り除くことです。もう1つは血流を少しだけ速めることで、毛細血管を発達させます。この結果、心拍数が上がらなくてもたくさんの酸素を身体の中に届けることができるようになります。ですから、楽に速く走れるんです。

 でも、実際、疲労抜きジョグは決して身体の疲れを完全に抜くものではありません。ですが、実際走らなかったとしても、3日間あれば、疲れは基本的に抜けます。ですので、仮に1日20kmを走れなかったとしても大丈夫です。

 そして、ゆっくり走ると気づくことですが、月曜火曜水曜と時間が経つにつれて身体が動きます。大体は水曜までに疲れが抜けることが多いですね。

 

 木曜からは蹴るジョグに移って行きます。

 木曜と金曜は蹴るジョグで、着地を意識して走ります。ここはペース走で走るフォームをコンパクトにしたもので、ゆっくりですが、頭の中のイメージはペース走と同じです。

 

 

 

 一番難しいのは土曜日の練習です。できれば午前中に走って、翌日のペース走がしっかり走れるようにしたいです。できるなら30kmのスロージョギングですが、10kmを蹴るジョブで、その後に20kmのスロージョギングで体調を見ながら走ってみるといいと思います。できれば午前中で終わりにして午後は体を休めてください。

 そして次の日曜の30km走が始まります。

 

 

 30キロ走を行った翌日にすぐまた速いペースで走れるよ という方もいらっしゃると思います。

 僕はその意見に賛成できません。30kmでしっかり追い込めてないんです。もしそうなら、日曜日のペース走をあと15秒 速めて限界まで追い込むべきです。

 

 

 更に、この走る速さをゆっくりと速くにする上で、僕は走る気持ちも大切にしています。

 30kmペース走は集中して、全力を出し切り、その後はゆっくり走り、リラックスさせると同時に、走りたい気持ちのエネルギーを蓄えます。身体の疲れが軽くなって来たら、「弾み」をオプション的に加えて、また次のペース走に向けて準備する訳です。

 

 

(彩湖ウルトラ2021のゴール直後。会心のレースの1つでした。それは、70kmを最後までキロ4で走れたからです。こうした自分で納得できたレースが僕の背中を後押ししてくれます)