「フルマラソンのタイムを伸ばすなら」というテーマで書かせて頂いています。

 今回の連載では、各回にサブタイトルを付けていません。実は全体の流れをあまり考えきれていないんです。だから、全体の流れを予め決めていないので、どうしても考えながら、ちょっとフワフワした思いで書いています。

 

 

 さて、前回はフルマラソンの目標タイムを決めるだけでなく、具体的な取組みまで落とし込むことが大切だと書かせて頂きました。

 僕自身を例に、今年は秋に向けて、どんな取組みをするのか?を書いてみました。

 今日は書いたことを具体的にどう練習に活用するか?書いて行きます。

 

 その前に、1つ加えさせて頂きますと、実際に取組んでいくと、様々な課題や壁にぶつかると思います。時には一旦、先延ばししたり、実は思っていたことが間違えていた時や、取組みが逆だったなんて時もあります。

 それでも、考えて取組むことが一番大切だと思います。

 何故、見誤ったか?何故、逆だったか?など、失敗から学ぶことはたくさんありますし、スゴく大切です。本に載っていることは定説ですが、それらが自分に合っているとは限りません。特に、多くのコーチは若いランナーの練習を見たり、あるいは若い頃の自分の経験に基づいて書きますから、年齢を重ねたランナーに合うとは限りません。

 自分で考えて決めた取組む内容は、他の方が取組んでいない時も多いです。ですから、僕も含めた皆さんが新しいことに挑戦していることも多いのです。

 未知のことに足を踏み入れて、新しい道を作っている、と考えて頂きながら、取組んで頂けると嬉しいです。

 

 

■僕も考えたことが裏目に出たことがあります

 僕の失敗を書いてみます。

 2017年の防府読売マラソンでは2時間36分31秒、2018年の別府大分毎日マラソンでは2時間36分1秒でしたから、次はVaporflyを履けば、確実に2時間35分を切れる!と思っていました。

 が、Vaporflyを履いた2018年の結果はベストが2時間38分32秒だったんです。

 

 僕は何を間違えたのでしょうか?

 

 当時の僕が取組んでいたのはソフトな着地でした。筋力がないので、省エネ走法を考えていました。

 でも、結論から書きますと、ソフトな着地ではなく、強い着地が必要だったんです。更に、しっかり着地できないと身体が立ってしまい、力が上に逃げてしまうんです。

 でも、履けばタイムが伸びると思っていた僕はシューズの研究が不足していたんですね。

 

 その結果を基に、2019年は強い着地を意識して取組みましたし、身体が立たないように前傾姿勢に気をつけました。その結果、PBが更新できました。

 勿論、走る上で1年間を棒に振るのは残念ですが、それ以降、毎年、2時間33分台を記録できているのは、その失敗があったからだと思います。

 

 

 このように失敗しながら、速く走れる道を見つけるのは自分の可能性を見い出し、新しい自分に出会える感覚です。

 でも、僕は筋トレやスピード練習の頻度を増やして、負荷を上げることはしていません。練習への取組み方として、初めに、僕の考える基本的なスタンスを紹介させてもらいます。

 

 

■僕の基本的なスタンスは身体全体の筋肉を使うことです

 速く走ると考える時、筋力アップ!と考える方が多いと思います。若い方は練習スピードを上げるとか、長く練習されると思います。僕はキツい練習を長時間継続することが週1回です。年齢的には筋力アップよりも、走りに使う筋肉の種類を増やして、スピードを上げようと考えて、取組んでいます。

 

 これまでに、2019年は蹴りを強めるのに、足を蹴る方向が内側だったのを身体の外側に替えました。

 2020年は身体のツイストを活かそうと思っていたら、足を蹴る方向が内側に戻り、2021年は身体のツイストと足を外に蹴ることの両立を目指しました。

 その走り方の中で、内転筋を活かすこと、股関節の可動範囲を広げることに取組んで来ました。まだ、自己ベスト更新に繋がっていませんが、ポテンシャルのある走りになってきたと感じています。

 という中で、今年の僕はより速く走れるようなアイテムを並べて取り組もうとしています。

 

 

■僕の具体的な取組み

 前日に書かせて頂いたのは次の通りです。

●前傾姿勢を強めて推進力を強める(2秒/km)

●背筋を使ったフォームの定着(3秒/km)

●腕振りを改善してピッチを高める(3秒/km)

●貧血の改善(2秒/km)

●Vaporfly NEXT%3を活かす(2秒/km)

 

 この中で練習で取組んでいくのは「前傾姿勢を強める」「背筋を使う」「腕振りの改善」です。

 僕の場合、「強い前傾姿勢」「背筋を意識した走り方」「回転を活かした腕振り」を長時間無意識で行えるようにすることが目標です。

 ですから、普段のスロージョギングに取り入れて、峠走をしながら、長い距離を走りながら、鍛えて行くつもりです。

 こうすると、スピードを出さない形でも日々のスロージョギングが筋力アップやスピードアップにつながると思っています。

 

 

■春から夏の練習内容は秋に目指したい走りで決まります

 僕は運動神経が優れる訳ではなく、身体が勝手に動いてくれるタイプではありません。自分で意識して取り組まないとできません。それに、覚えが悪いので、考えたことを意識して取組んで、長く時間を掛けて初めて身体に定着します。

 ですから、初めは先の3つのことをそれぞれ取組みます。例えば週に2回ずつって感じです。そして、2つを一緒に行う日を加えて、最後に全部を一度に行います。

 例えば、身体が立った状態は身体のツイストが簡単です。でも、前傾姿勢になると、回転軸が倒れる?倒れない?となって、自分の中で納得するのが難しいんです。

 ですから、時間を掛けて考えながら、走り方を進化させているんです。

 

 

 ここまではあくまでも僕を例に挙げて展開させてもらいました。

 ここからは皆さん、ご自身で一度、秋に向けてどの位速くなりたいのか?それにはどんな取組みをしてみるのか?その取組みを実行する練習方法は何なのか、と具体化させてみると良いと思います。

 

 

■なかなか難しいと思います

 こういう取組みは一度やってみないと分からないかなぁと思います。一番分かりやすい取組みを書いてみたいと思います。

 そこで、もう少し昔の僕の取組みを紹介しますね。

 2017年の僕はピッチを上げるこを考えました。

 一例として、キロ4を走るのが、200歩/分だとします。仮にピッチが5%向上して210歩/分になったら、12秒/km速くなるんです。これって、フルマラソンなら8分なんです。

 

 ですから、ピッチを上げるのは分かりやすい取組みと言えます。勿論、上に書いた通りには行かない面もありましたので、そこも紹介しますね。

 

 実はトラック練習を速いスピードで走る時、意識して、ピッチを高めて走ると、意外なことが起こります。それは翌日等のランでもピッチが速まってます。

 勿論、これは距離が延びて行きますと、ピッチは低下していきます。

 

 ですから、高いピッチを保つには長い時間を高いピッチで走ることが大切です。

 具体的な練習としては、普段のジョグから足をどんどん動かすことを意識して取り組みます。すると、段々と身体のリズムが速まります。

 僕は2017年のスロージョギングでのピッチが170〜175歩/分でした。春から取組んだ結果、180歩/分近くまで高めることがてきました。その結果、レース後半でもピッチの低下が減って、2分半のベスト更新ができました。

 この時は足を速く動かすためにストライドが減る面もありました。

 

 今は普段のスロージョギングでも190歩/分程度までピッチが上がり、おおよそですが、レースでは210歩/分程度で走ります。

 コンパクトな動きで強い蹴りを目指して、日々取組んでいます。

 

 

 この辺りは詳細がこちらの本に書いてありますので、ご興味ありましたら、ご覧下さい。

 

 

 

 
 

(2021年の葛飾トライアルマラソンからの1枚。この時、後半まで一緒に戦った友人が、板橋シティで2時間32分台で走った。嬉しいと同時に、僕も続きたいと強く思いました。)