白いとき | 一冊の詩集

一冊の詩集

人生終わるとき一冊の詩集が出来上がっていたら。
一日一日を大切に。

目指す頂上は一つだとしても、上り方は無数にあります。

一人一人がそれぞれの歩き方で進んでいます。

出来る出来ないではなく、肩書きでははなく、その人がその人であるように道は備えられています。

どうぞ、心安らぐ一日でありますように。

 

 

「白いとき」

 

  a

 

だあれもいない

ま夜中に

子ネコが四ひき電信柱

 

すっと アスファルトを

白い影

かあさんネコが横切ると

 

からだも

こころも

白い玉になってころがった

 

小雨のなか

小さなものたちは

生きる練習をしています

 

  b

 

朝の歩道

雨にぬれた

銀梅花

 

ひらいて

散って

一本のめしべ

 

まるで

燭台の

針のように

 

まるで

燃え尽きても

祈るように

 

  *

 

あの日

網戸の

向こうから

 

よびかけた

白い十字

どくだみは

 

月日の流れに佇んで

今年も

心に刻んでいる

 

人は

ひとりぽっちで

歩いていても

 

やさしい

まなざしに包まれながら

呼吸している

 

  c

 

朝から

 

心に垂れる

雨の音

 

誰にも

見向きもされない朝

 

それでも

濡れながら歩いている

 

白い花

闇にいちりん

 

触れることさえためらう

その聖さ

 

白い光が

まぶたをさするとき

 

魂が

息を吹き返す

 

この花が

咲いているのは

 

わたしのため

かもしれない

             motomi

 

※ 今日の心は何色でしょう、どんな色でも大切な一日。