春の散歩道 | 一冊の詩集

一冊の詩集

人生終わるとき一冊の詩集が出来上がっていたら。
一日一日を大切に。

無駄のない生活を目指して進む社会。回り道して歩いた道で小さな花に出会うとき、私たちが生きるのに何が大切かを教えてくれているようです。

どうぞ、心澄んだ一日でありますように。

 

 

「春の散歩道」

 

  a

 

流れる平安

心のなかに

 

日々の

いとなみ

 

悲しみと

苦しみと

 

ぬぐわれながら

ここにいる

 

  *

 

漂う香り

心のなかに

 

出会いの

ひとつひとつ

 

喜びと

華やぎと

 

溢れながら

ともに

 

  *

 

どこにいても

なにをしていても

 

平安と

希望に

 

あの人も

あの人も

 

包まれて

いるように

 

  *

 

花びら

ひらひら

 

なにも

ないけれど

 

ひとことだけ

伝えたい

 

いまあなたと共に

生きています

 

  b

 

ヒンヤリ

道は濡れている

 

桜は満開

けれど

 

涙が色を流したように

うす紅が寂しげで

 

  *

 

雨上がりの道

見上げれば

 

花びらが

色薄く感じられるのは

 

わたしの心が

透けているからかもしれない

 

  *

 

もっと濃く

もっと激しく

 

いのちを

燃やしたいのかもしれない

 

どれ程生きても

咲き尽くせないことよ

 

  *

 

どんなふうに咲いて来たのか

静かに問い直すとき

 

もう

とっくに散ってしまった

 

一輪が

心に今も揺れている

 

  c

 

穏やかな流れに

突然しぶき

 

川が

割れる

 

まあ

水上バイク

 

  *

 

横断歩道の

こちらとあちら

 

笑いあって

駆け寄る二人

 

春の風が

通り過ぎ

 

  *

 

散りゆくものを

心に咲かせてみれば

 

両手で

迎えてくれる空

 

静かに宇宙に

置かれているのです

             motomi

 

※ たまには、荷物を置いて深呼吸してみませんか。