2月12日(木) | 元木昌彦の「編集者の学校」

元木昌彦の「編集者の学校」

「FRIDAY」「週刊現代」「オーマイニュース」など数々の編集長を歴任
政治家から芸能人まで、その人脈の広さ深さは、元木昌彦ならでは
そんなベテラン編集者の日常を描きながら、次代のメディアのありようを問いただす

 朝起きてコンビニに新潮と文春を買いに行く。J-CASTの「元木昌彦の深読み週刊誌」を書くために二誌を読む。詳しくは、以下のURLで。



http://www.j-cast.com/tv/a21_syukanshi/



 週刊誌を読んでいると、キヤノン会長で経団連会長の御手洗冨士夫氏と、オリックス会長の宮内義彦氏が絶体絶命のようだ。御手洗氏は、逮捕された友人の大分市のコンサルタント会社「大光」社長大賀規久容疑者の不透明な資金をめぐる疑惑、宮内氏は、日本郵政から落札した「かんぽの宿」の不透明な入札疑惑。共に、黒に近い灰色だが、麻生首相、御手洗、宮内、この三人の中で一番早く転けるのは誰か?興味津々だ。


 夕方、祥伝社新書「競馬必勝放浪記」の最終のゲラが届く。明日の朝までというので、12時近くまでオフィスでゲラチェック。

『創』に光文社のことが載っている。「『未曾有の危機』光文社の深刻社内事情」がそれだ。経理担当役員が就任2ヶ月で突然辞任したのだそうだ。この人物、三橋和夫氏は元『週刊宝石』にいて、その宝石が潰れて『DIAS』を立ち上げたときの編集長だが、これもあっという間に休刊した。彼は、私がやっていた編集者仲間の会にもときどき顔を出してくれていたから知っているが、実直なエリート編集者であった。

 その彼が、経理担当になって、あまりの経営状態の悪さに驚き、会社側に三橋私案なるものを出したが受け入れられず、辞任したというのだ。前の社長の並河良氏は、女性誌作りには定評があった人だが、このところの広告収入の落ち込みで、広告に頼りきった雑誌作りが裏目に出て、この惨状を招いた。

 社員320人で売り上げが283億円。経常で23億円の赤、借入金は50億円余りという。昨年末のボーナスは、要求4.5ヶ月に対して2.3ヶ月になった。元々給与が高いから仕方がないという書き方だが、そこのところは少々引っかかるが、異常事態だから、致し方ないのだろう。

 だが、ここで、これまでの経営責任をはっきりさせ、どこへ向かっていくのかをはっきりさせないと、手遅れになる。雑誌、新書、単行本、いい方は悪いが、どれをとってみても特徴がない。かつてカッパブックスでベストセラーを連発した、その頃の文化を思い起こし、奮起してほしいものだ。講談社とは姉妹会社。お姉さんのほうも大分苦しくなってきているようだ。講談社が100周年を迎える今年、どちらにとっても正念場だ。社員に責任をおっかぶせるのではなく、経営陣も過去を反省し、明確な経営ビジョンを示さなくてはいけないと思う。