AKBにおける、行き過ぎた現場中心主義の危うさ | 超絶メタアナリシス

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~女性アイドル論を中心に、政治・経済、スポーツ、芸能などなど、時事問題を独自の視点で分析~
☆☆☆ 都心(台東区)在住です ☆☆☆

昨日は、私も1日だけですが参加した乃木坂46の真夏のライブツアーがベスト10入りしたという記事を書かせていただきました。

  

”ライブ”の素晴らしさは芸能の世界に限らず、
子供の頃から野球やサッカーを、テレビではなく実際にスタジアムへ頻繁に足を運んで見てきた私にとっては、スポーツの世界でも実感してきたものです。

  

  

しかし、”芸能”の世界と言うものは、”スポーツ”とは違います...

  

スポーツは、「野球は筋書きのないドラマ」というように、
結末がどうなるかわからないドキドキ感と、気力・体力の限りを尽くす人間の汗と努力との結晶が、キラメキを発生させ、そこに魅力が生まれます。

  

しかし、芸能の世界というものは、台本があり、
そして、”美しいもの”だけを見せるのが基本です。

  

映画では、映画監督が、演技がダメなら、俳優さんに何度も撮り直しを命じるじゃないですか。

  

つまり、収録されずに終わった「俳優の汗」は、結果的には、映画のスクリーンには出てこないのです。

  

そして、結果的に、”美しいもの”だけを観客は見ることになります。

  

だから、映画の撮影現場にファンが乱入するなどというのはヤボ、ということになります

  

  

アイドルだって、おんなじです...


年頃の若い女の子がベストのパフォーマンスを見せることが出来るのは、収録の場合”です...


「失敗しても、プロのカメラマンさんが、もう一度撮り直してくれる...」
「下着がうっかり露出してしまっても、編集されてカットされる...」

  

年頃の女の子だから、パンツがチラ見えしてないかとか、お化粧が失敗してないかとか、いろいろ心配するものでしょう。

  

どれだけ準備をしても、全身くまなく、自分の目で見えるもんでもないですからね。
  

だから、取り直しや編集がある、という安心感が、”思い切ったからだのキレ”や、”失敗を恐れないダンスへの挑戦心”を生みだし、結果的には良いパフォーマンスをカメラの中におさめさせる...

  

こういう結果をもたらすと思います。

  

結局のところ、現場での生(なま)のパフォーマンスは、
アイドルにとっては、セカンド・ベスト”に過ぎないのです。

  

ライブというものは、芸能の世界では、ホントは、”セカンド・ベスト”なんです。

  

もし何かプラスアルファがあるとすれば、大観衆の熱気がアーティストを高揚させ、今までには無かったものを生みだすような場合...

  

しかし、それは、”時と場合”によると言ってよいでしょう。

  

いつでもそんなプラスアルファが生みだされるとは言いがたい...

  

第一、現場が何でもよいという考え方は、映画監督やドラマの監督という職業を否定するもの。

  

名監督と呼ばれる人たちの仕事の価値を認めていないわけです。

  

AKB48グループや、乃木坂で例えれば、”MV”を否定するものです。

  

”現場”というものに過度に入れ上げる人は、きっと、”MV”は見ていないことでしょう...

  

代わりに、”MV”の撮影現場の情報を何らかの方法でつかんで乱入したりするのが好きな人かな?...

  

  

おっと、話しがそれてしまいましたが、
私が言わんとしていたことは、「撮り直しの大事さ」です...

  

昔の映画では、いや、テレビの名ドラマでも、
監督さんが何度も撮り直しを俳優さんに命じて、それで良いパフォーマンスが生みだされてきました。

  

しかし、最近は粗製乱造的な傾向というか、コンテンツの”質”が落ちたかなぁ~...という感じがします。

  

コンテンツ制作の際にもビジネスの論理、つまり、コストパフォーマンスという発想が入りこんできたのかな、と...

  

昭和のテレビ全盛期には、バラエティー番組などで、俳優さんが苦労話として、何度も撮り直しをさせられた経験談を実感を込めて語っていた時代がありました。

  

最近はそういうシーンが少なくなったかなぁ...

  

そして、AKB48グループも、

握手会にしろ、劇場公演にしろ、早着替えに代表されるあわただしいライブコンサートにしろ、コストパフォーマンスに加えて、過度の現場主義が、「撮り直し」という芸能の基本をおろそかにさせてしまったように思えます。

  

優秀な映画監督から何度も「撮り直し」を命じられることによって、”俳優”というものは、芸を磨き、成長していくものなのに...

  

行き過ぎた現場主義によって、”俳優”として通用しない俳優の卵が生まれて出ているような気がします...

  

例えば、NHK朝ドラの主題歌がAKBに決まった際にニュースとして流れた以下の記事のように...
↓↓↓
http://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/440929/

  

「渡辺麻友、島崎遥香、北原里英、横山由依ら女優志望のメンバーも落ちてますが、これまで朝ドラヒロインのオーディションに挑戦してきた」とあります。

  

AKBのメンバーが、たくさん、NHKの”オーディションに落ちてきた”みたいですね...

  

行き過ぎた現場主義が、撮り直しを命じられることによって芸を磨く”という、昔の名俳優さんたちが普通に通ってきた道をおろそかにさせているように思えます...

  

  
了