九月も残り少なくなりました。 

仮店舗への引越もスムースに終わり、今は旧店舗の解体工事中です。 

解体工事にはご近所様に迷惑をかけないよう粉塵対策や防音目的で「養生シート」というものが必要です。 

よくこうした工事現場で見かける建物を覆い隠すシートです。 

今回初めて知りましたがこの養生シートを見れば施工業者さんの良し悪しの見分けがつくそうです。 

おかげ様でいい業者さんにあたったと感謝しております。 

ところで今回ご近所の方から養生シートをしっかりしてほしいとのご要望がありました。 

この方は化学物質に対するアレルギーがおありでした。 

 

「化学物質過敏症」の定義は「かなり大量の化学物質に接触した後、または微量な化学物質に持続的に接触した後に、同じ化学物質に再接触した場合に出てくる不愉快な症状」となっていて、潜在患者を含めると70~100万人という数にのぼるようです。 

以前関連するブログ(*参照:香害)も反響が多かったので、こうした疾患に苦しんでいる方は多いのだと思います。 

症状は広範囲にわたっており目、耳、皮膚の炎症、動悸や不整脈、吐き気、下痢、便秘、発汗、疲労感、不安感、不眠、うつ、頭痛、知覚や意識の障害以外にも様々な症状があります。 

一度発症すると上記のような色々な症状に悩まされ仕事どころか外出さえもままならず食べるものも制限をうけることになります。 

こう書くと「シックハウス症候群」とか「アレルギー」と言った疾患をつい想像しがちですがこれらとは別物です。 

シックハウス症候群もアレルギーも発症原因になる物質はホルムアルデヒドや花粉など特定されていますが、この疾患の原因になる化学物質は1人の方に何種類もあるのです。

 (ただ化学物質過敏症の方の約8割の人がなんらかのアレルギーを持っているようです。) 

また米英の多国籍軍がイラクを攻撃した湾岸戦争時に兵士たちに発生した「湾岸戦争症候群」という疾患があり、これが化学物質過敏症と症状がよく似てます。 

その原因は劣化ウランやサリンではないかといわれていて地下鉄サリン事件の被害者でも同じような症状の後遺症に悩まされている方がおられたようです。 

 

この疾患の定義については議論が多く、化学物質がこうした症状を引き起こする客観的な証拠がない、心因性ではないかという意見もあります。 

厚生労働省HPによりますと 「発症メカニズムをはじめ、科学的には未解明な点が多いのが現状であり、病態解明や治療法及び予防法の確立のための研究の更なる推進が必要 ・診断基準については、過去に研究班の活動等を通じて策定が試みられたものの、未だ専門家の間での合意を得られていない状況。 」

つまりまだはっきりしていない部分もあるということです。 

疾患に苦しむ人にとってはとてもやっかいな疾患と言えます。 

さらに普通なら影響を感じないレベルの電磁波で体調を崩す電磁波過敏症を併発する方も多いようです。 

携帯、テレビ、レンジに近づくとやはり様々な体調不良が出てきます。 

化学物質が増え電磁波が飛び交う現代、こうした疾患を持つ方も増え続けています。 

 

こうした原因やメカニズムがよくわからない疾患の場合、病院からはとりあえず症状を抑えようということでステロイドや抗アレルギー剤、安定剤などがよく処方されます。 

漢方の世界ではどう考えたらよいのでしょうか。 

例えば「目、耳、皮膚の炎症」は体の表面で化学物質に対する過敏症状が出ていることになります。 

目が痛かったりかゆかったり、湿疹が出たりすれば体表面の防御機能をアップしていきます。 

そのためにその方の体質を見て何が不足しているかを見ていくことが必要になります。 

漢方では目なら「肝」、皮膚なら「肺」に異常がないかを探っていきます。 

動悸や不整脈なら「心」、吐き気、下痢、便秘なら「脾」、発汗、疲労感、不安感、不眠、うつ、頭痛なら「心、肝、腎、脾」など広範囲に考える必要があります。 

 

漢方とは別に化学物質過敏症には二つの課題「解毒」と「栄養」があります。 

食品添加物や農薬、化学薬品などが体内に停滞している可能性は高いのでこれらを体外へ排出すること。 

もう一つは冷凍食品やインスタント食品、また食品添加物による微量ミネラルの体外流出が多くなっていること。 

足りない栄養を補い、毒素を排出すれば体表面の防御力をあげることにつながります。

 

さて化学物質過敏症のように「患者が持続的な身体症状を訴えているのに、十分な検査をしてもその症状を説明するだけの器質的所見が得られない」ものを難しい言葉で機能性身体症候群と呼びます。 

月経前症候群や慢性疲労症候群、過敏性腸症候群、線維筋痛症、湾岸戦争症候群も含まれます。 

身近な所では咽喉頭異常感や一部のめまいも含まれます。 

「原因がよくわからない」こと自体が患者さんを不安にさせ、うつや不眠にもつながる面があります。 

こうした患者さんは心身とも疲弊した状態が多いので光線療法がとても有益です。ご相談下さい。 

 

今年の秋はコロナとインフルエンザの見極めが難しく混乱が予想されています。

特に秋という季節は「肺」に注意が必要な季節です。 キノコ

漢方の世界での「肺」は口や鼻などの呼吸器だけでなく、皮膚や大腸にも関係します。 

化学物質に過敏な方はもちろん、普段から風邪をひきやすい、喘息やアトピーなどの方は特に注意が必要な季節でもあります。