ネット本店のHP変更作業をしておりブログ更新が遅くなりました。 桜も咲き始めました。

 

最近よい香りが長続きする柔軟剤のCMを見ない日はありませんね。

香り柔軟剤ブームは、節水がウリである横型ドラム式洗濯機の登場により水量がへったことで逆に臭いが残るようになったことが発端のようです。

こうした香りの強い洗剤や芳香剤は一部の人に頭痛、吐き気、咳、くしゃみ、かゆみ、下痢、さらには湿疹や蕁麻疹、イライラ、呼吸困難、吐き気やうつなどの過敏症状を引き起こしているようです。

つまり合成香料に含まれる化学物質による過敏症です。

こうした現象にシャボン玉石鹸さんが以前新聞一面で「香害」と名付けた広告を出し話題になったことがあります。 (*参照HP)

合成香料としての化学物質は何千種類も存在しており環境問題にもつながります。

当店があります岐阜県岐阜市など香料自粛の呼びかけを行っている自治体もあるようです。

こうした化学物質は柔軟仕上げ剤以外にも、合成洗剤、芳香剤、消臭除菌スプレー、香水、農薬・殺虫剤など多くが存在しており、鼻だけでなく口からも皮膚からも侵入ルートがあります。

こうした過敏症状に対して西洋医学では対症療法しかありませんが、東洋医学は外部から侵入した邪気による熱として対応できます。

 

鼻からのルート、つまり香りが鼻から脳に伝わると脳は様々な反応をします。

マルセル・プルーストというフランスの小説家の作品の中に“マドレーヌを紅茶に浸した時その香り"で子供のころの家族で旅行した記憶が鮮明によみがえる記述があります。  コーヒー

匂いでそれに結び付いた過去の記憶がよみがえることをここから「プルースト現象」とよばれています。

何故匂いと記憶が結び付くのかは諸説あるようですが、敵の臭いを感知して自分の身を守る、獲物の臭いで近づいていく、食物が腐っていないかどうかの判断するといった必要性から嗅覚と記憶が結びつくようになったのではないかと考えられているようです。

認知症の患者さんに香りを嗅がせることで実際に物忘れなどの認知機能の障害が和らぐそうですが、これは香りが記憶を呼び起こしているのかもしれません。

 

臭いを感知する「嗅神経」は脳から鼻腔内に伸びている構造ですから臭い情報は脳に直接伝わります。

このため鼻を“露出した脳”と呼ぶこともあるようです。 ムキー

そんな敏感な部分に香料などの強い刺激が長時間加わることで脳が過剰に反応してしまうのかもしれません。

 

逆に脳にとってよい刺激を与える香料で体を癒すのが「アロマセラピー」です。

鼻腔の奥にある嗅覚器→嗅細胞→脳へのルートについても比較的最近に解明されてきており、前述の認知症の他にがんの痛み・ストレスなど医療へアロマセラピーの導入も進みつつあります。

こうしたアロマテラピーには精油などの「天然香料」を使います。

天然香料の特定の成分を化学合成したものが合成香料です。

実は天然香料なら無害、合成香料なら有害とは必ずしも言えません。

何故ならなんでも天然だからといって例えば塩でも砂糖でも摂りすぎれば病気になりますからね。

ただ合成香料を使用してある製品の成分の全てが表示されていないという事実もありますので複雑です。

 

例えば以前当ブログで書きました(*参照:アロマテラピー)中に出てくるシャネルの五番のムスクは合成香料、麝香は天然香料です。

ムスク系の香料(ムスコン)は人気が高く、香水だけでなく化粧品や洗剤、トイレタリー製品など香りづけ製品に広く用いられています。

麝香は天然のものですのでムスコンの単体ではなく他の微量物質、男性ホルモン様物質、動物性油脂などの混合したものです。

中国、ネパール、ロシアなどの山岳地帯に生息している雄の麝香鹿(ジャコウジカ)などの香嚢(こうのう)を腹部から切除して乾燥した動物性生薬で、現代でも「麝香」として漢方薬局で販売されています。

ジャコウジカの雄は発情期になると臭腺から出るこの匂いで自分のテリトリーを示し、雌を誘引し、また縄張りのマーキングとしての意味ももっています。

 「麝」という漢字は鹿と射るという字から出来ていますが、鹿の放つ香りが矢を射るように遠くまで飛ぶことを表しています。

現在はジャコウジカの捕獲が禁止されているため、麝香は非常に希少となっています。

麝香には鎮静作用・抗アレルギー作用、男性ホルモン様作用、降圧作用、呼吸機能改善、強心作用、さらに解毒、排膿などいろいろ作用があります。

麝香はまた中枢神経系に対し、少量なら興奮作用、大量なら抑制作用があります。

ちなみにムスコン単体でも0.1%以下の溶液にすると魅力的な香りになりますが、それ以上濃度を濃くするとひどい悪臭になるそうです。

麝香は中国では、上薬(=命を養う薬で副作用もない)に分類されていて、久しく(長期間)服用すると邪気を除き、夢をみて飛び起きたり悪夢にうなされる事がなくなると言われています。

実際ストレスより気の流れが滞る(=気滞)状態を改善するようで夜中にはっと目覚める人にお勧めするとよく効きます。

このため麝香は「飲むアロマテラピー」とも言われています。

2013年には東京大学の研究グループはムスコンが一般的な匂いと比較すると極めて少数の嗅覚受容体で受容されること、ムスコンの匂い情報が嗅覚の一次中枢である嗅球という場所の限局された特定の領域に入力され高次脳へと伝わるという研究結果ことを明らかにしました。

これを言い換えれば一般の香りとは少し違う特別なルートで特別な場所へ伝わるということでしょうか。

 

麝香が効果があると思われるのは次のような方です。

・夜中に目が覚める

・朝起きると首が凝っている

・夜中トイレに目が覚める

・心電図には異常がないがたまに心臓がドキドキする

・緊張するとトイレが近くなる

・うつ病・不安神経症・登校拒否

・小児夜尿症

・中年の頻尿

・高血圧(普段は高くないのに病院で高くなるような方)

・ストレスがかかると痛みが出る

・日によって痛みが変化する

・脳梗塞などの脳内の気血の流れの改善

 

また香害に悩む方にも麝香はお勧めしたい生薬です。これについては長くなりますので近いうちメルマガに書きたいと思います。