徳永雄紀ピアノリサイタル | 成人してから始めたピアノ

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大学生になってからクラシックピアノを弾き始めました。大人になって始めたからこそ味わう充実感や苦悩について、皆さんと共有していきたいです。

去る3月4日(月)にヤマハ銀座コンサートサロンにて行われた、「徳永雄紀ピアノリサイタル」へ行ってきました。

 

徳永さんは「第6回いしかわ国際ピアノコンクール」にて優勝された新進気鋭のピアニストで、今回は同コンクール受賞記念でリサイタルを行う運びとなったそうです。

 

ヤマハホールには足を運んだことがあるのですが、サロンは初めて。しかし私はこのぐらい広さの会場が一番好きです。特に微細な表現にこだわる演奏にはコンパクトな会場でないと伝わらないものがあると思います。

 

一方、大きな音量が求められるような曲では、それを表現しようとするときに小ホールではうるさすぎて音が割れてきこえてしまうこともあります。

徳永さんのリサイタルでは、当初ラフマニノフのコレルリ・ヴァリエーションが予定されていましたが、そういった配慮のため急遽プログラムからは除外されたとのことでした。

 

さて前置きが長くなってしまいましたが、肝心の演奏についての感想です。演奏曲は以下のとおり。

(前半)

シューマン:クライスレリアーナ

(後半)

ドビュッシー:前奏曲集から アナカプリの丘、オンディーヌ、西風の見たもの、花火、亜麻色の髪の乙女、ミンストレル

ショパン:舟歌

(アンコール)

グリンカ=バラキレフ:ひばり

 

まずはクライスレリアーナ。最近演奏される機会が増えてきた印象ですが、全曲通すと30分を超える大作です。私は徳永さんの劇的な表現に惹かれました。難しい曲ですから、テンポを落として安全運転で演奏されることも少なくないのですが、淀みなく高みへと昇り詰めていく緊張感が見事で、特に7曲目の鬼気迫る演奏は圧巻でした。私も音にしてみたい…と思ってしまいました 笑

 

後半の中で一番気に入ったのはオンディーヌです。何度か聴いたことはあるはずなのですが、特にこれといった印象もなく、わかりにくい曲だな~と思うばかりでした。しかし徳永さんの演奏でその印象は全く覆されました。音色の多彩さ、リズムのニュアンス、強弱の変化が抜群に素晴らしく、また見事な構成力でもって作られた演奏は全く飽きることがなく、「あぁ…ドビュッシーはこういう風景を描いていたのか…」というのが彼の演奏でようやくクリアにイメージできました。

ドビュッシーは今まであまり聴いてこなかったのですが、徳永さんのドビュッシーならもっと聴いてみたいと思いました。

 

今年日本に完全帰国されたとのことなので、またどこかで演奏会の機会があればぜひ足を運びたいと思います。

それにしてもやはりロマン派は良い…シューマンもあまり聴いてこなかった作曲家ですが、最近いろいろと物色しています。