隠しておきたい舞台裏に、オチる理由がある
「あなたの行きつけのお店、いきたいな」
いかにもおふくろの味って感じのメニューが並ぶ定食屋。彼女は、ひとつの決意をして店を出た。
そして、次の週末。
「肉じゃが、作ってみたの」
肉じゃがに、炊き込み御飯に、お吸い物。彼女は綺麗にテーブルに並べ、つけていたエプロンを外した。
ビールも冷えてるし、完璧ね♪
女が男に手料理を振舞う。まさに王道!でもね・・・完璧に料理を並べて、何もなかったような顔でテーブルにつく。彼のお母さんになりたいならそれもいいけど男がほんとうに彼女の手料理にぐっとくる理由って、他にある。
エプロンしてどたばた、吹き零れそうになったガスをあたふた切る。
ちょっと焦げ付いたジャガイモの匂いがする。
流しには、まだ洗えていない鍋やボールが散乱してる。
「あたし、ちょっと片付けちゃうから、ビール飲んでてもらっていいかな。ごめんね、段取り悪くて・・・ハァハァ」
彼は手渡されたビールを飲みながら、横目で洗い物をする彼女を見てる。
料亭じゃないんだから、完璧なテーブルセッティングなんて必要ない。
「今まであなたのために、こんなふうにキッチンに立ってたの」
そんなストーリーを見せてこそ、男はぐっとくるんです。
読んでくれてありがとう、またね
- かわいくなる100の魔法/藤沢 あゆみ
- ¥1,404
- Amazon.co.jp